ソフトバンクが死闘を演じた。「日本生命セ・パ交流戦」阪神戦は、延長12回で2-2のドローに終わった。9回裏に今宮健太遊撃手(27)の左適時打で追いつき、7投手の継投で4回の2失点だけに抑えた。甲斐拓也捕手(26)が今季初めて先発マスクから外れるなど勝負手も打った。ソフトバンクは首位から2位に転落したが、熱戦はまだまだ続く。

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延長12回無死三塁から決勝点は奪えなかったが、工藤監督の意地の采配で今季3度目の引き分けに持ち込んだ。左太もも裏の張りのため前カード広島戦では3試合スタメンから外していた今宮を2番で起用。9回2死二塁から左前へしぶとく落とす、同点適時打を放ち延長戦へ持ち込んだ。

「打ったのはストレート。チャンスで打ててよかった。詰まったけどいいところに落ちてくれた」と今宮。今季3度目の1番で使った福田は4回に3号ソロで応えた。

一番の大きな決断は、今季開幕から61試合目で正捕手甲斐を初めてスタメンから外したことだった。中15日で先発したミランダとは、37歳のベテラン高谷を組ませた。左腕の早期KOの試合が続いていたためで、森ヘッドコーチが「気分転換」と説明した。

工藤監督は甲斐を真の正捕手に成長させるため、今季は打たれてもフル出場させてきた。だが、交流戦からは高谷が抑え捕手として終盤に出場する機会が増えた。5連勝すべてゲームセットの瞬間は高谷だった。ミランダと入れ替わる形で10日に九鬼が降格。捕手2人制にした直後の大きな決断だった。

この日のミランダは初回1死満塁のピンチを背負ったが後続を打ち取り、36球、20分を費やしながらも無失点で切り抜けた。6回3安打2失点とQS(6回を3自責点以内)投球。ミランダは「高谷さんのリードのおかげで何とか試合をつくれた」と感謝した。

高谷はその後も6人のリリーフ陣で7回から延長12回まで無失点リレーを導いた。今季初めて出番なくベンチから見ていた甲斐にとっても、大きな刺激、糧となったはずだ。

交流戦で戦う相手はセ・リーグだが、楽天、日本ハムの上位チームも負けないため、1つの黒星で即3位に転落するほどの混戦ぶり。同率首位だった楽天が勝ったために、引き分けたが2位に順位を下げた。故障者続出の中、ベンチの戦力を最大限に生かし、交流戦を勝ち抜いていく。【石橋隆雄】