阪神高橋遥人投手(23)が1球に泣いた。6回まで1安打に抑えていたが、7回にグラシアルに痛恨の3ランを被弾。好投は報われず今季初黒星を喫した。

ひざに手をつき、動けなかった。左翼ポール際に飛び込む打球を力なく見送ると、がっくりとうなだれた。「せっかく7回まで任せてもらったのに、投げきれなかったのは悔しい。結果ホームランを打たれて、一番やってはいけないこと。投げ切れたボールだったけど打たれてしまった」。7回に連打を浴び1死一、二塁。迎えたのは、2打数無安打に抑えていた5番グラシアル。高めの直球でカウント1-2まで追い込んだが、内角低めのカットボールをうまく運ばれた。

同学年左腕対決で意地と意地がぶつかり合った。高橋遥は亜大から18年にドラフト2位で入団。大竹は早大から18年に育成ドラフト4位。対戦前は「プロでの成績とか大学でも、向こうのほうが上」と話していたが、1歩も譲らなかった。「ストレートは調子が良くなかったんですけど、梅野さんがうまくボールを使ってくれて、テンポよく抑えることができました」。6回までに許したのは、松田の投前打のみ。直球は最速151キロを記録し、変化球は内角低めにどんどん決まった。

7回5安打3失点の内容に、首脳陣は全く悲観していない。矢野監督は「頑張った。めちゃめちゃ良かった。(被弾は)うまく打たれてるボールやし、勝負に行った結果。全く心配ないというか、逆に期待しているけどね」と次戦を待ち望んだ。マウンドでは何度も悔しい表情を浮かべていた高橋遥も、試合後はしっかり前を向いた。「次は絶対こういうことがないように」。次こそ白星をつかむ。【磯綾乃】