オリックスが今季4度目のサヨナラ勝ちで3連勝を飾った。「日本生命セ・パ交流戦」の阪神戦で驚異の粘りを発揮した。

1点を追う9回に、吉田正尚外野手(25)が同点タイムリー。ステフェン・ロメロ外野手(30)が犠飛を放ち、試合を決めた。3連勝はすべて逆転勝ちで、うち2度のサヨナラ。最下位に沈むオリックスが「関西ダービー」で勢いに乗った。

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最下位チームが、事を起こすかもしれない。「アシタモガンバリマショウ!」。一瞬のうちにガラガラになった阪神応援席を背に、お立ち台のロメロが熱狂のオリックス応援席に向かって叫ぶ。明日も、頑張れる! そんなサヨナラ勝ちを、オリックスがやってのけた。

1点を追う9回。先頭の小島が希望の灯をともした。阪神ドリスの156キロの快速球を右前にはじき返す。「狙いはまっすぐ一本に絞っていました。絶対にあきらめず、自分の仕事をしようと」。内外野を守り、任された打順で起用に応える仕事人が、この日は代打で道を切り開いた。続く福田の送りバントを処理したドリスが、一塁へ悪送球。2人の走者が塁上に残り、1死二、三塁で吉田正が中前タイムリーを放った。

スタンドには、地元・福井から駆けつけた約150人の個人応援団がいた。少年野球の後輩たちが懸命に声援を送る中、ここまで4打数無安打。「ノーヒットだったらどうしようと思っていたんです」。最後の打席で、待たせた分まで満足させる同点打。「いいところを見せられてよかったです」とさすがの働きを見せた主砲に、ロメロも続いた。左翼最深部に犠飛を打ち上げ、今季4度目のサヨナラ勝ちを決めた。

プロ初の阪神戦を、8回2失点でしのいだ先発・山岡の力投があった。6回1死一塁で糸井の三塁線への痛烈な打球に飛びつき、一塁でアウトにした鈴木昂の美技もあった。それぞれの貢献が、3連勝で報われた。「最後まであきらめない気持ちが、この結果につながった。選手たちには自信になるし、強くなるはず」。西村監督の口調にも期待がにじむ。逆転、逆転、また逆転でつかみ取った3連勝を、浮上への分岐点にする。【堀まどか】