執念ドロー!! 阪神が「日本生命セ・パ交流戦」オリックス3連戦3連敗をまぬがれた。

2点を追う9回2死一、二塁で代打起用された福留孝介外野手(42)が中堅フェンス直撃の2点二塁打をマーク。起死回生の同点打を放ち、自身の日米通算500二塁打達成に花を添えた。

最大5点差を追いつき、矢野燿大監督(50)も「勝ちに等しい」と評価。3連敗中の苦しいチーム事情のなかで、驚異の粘りを見せた。交流戦は残り2カード。再び上昇気流に乗るで!

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粘りに粘って4時間48分の総力戦になった。引き分けに終わってもロッカーに向かう通路でハイタッチが飛び交う。

矢野監督は「5点差ありながら孝介が助けてくれた。3連敗のプレッシャーがかかって5点を先に取られて追いつけたのは勝ちに等しい」と話した。

起死回生の一撃だった。2点を追う9回2死一、二塁。代打福留は冷静だ。オリックス守護神増井は速球が指に掛からない。カウント3-1でストライクを取りに来た外角高め速球。狙いすまして完璧に仕留めると中堅フェンスを直撃。同点の2点二塁打になった。

右ふくらはぎ筋挫傷から1軍復帰後、14打席目での初安打は、あと1死で敗戦の窮地での大仕事だった。「たまたま俺が打ったかもしれないけど、みんなが踏ん張ってくれた。だから、こういう試合になった」。福留は、チームのために我を捨てる。矢野監督もそんな姿勢を買う。この日の試合前練習でも、プロフェッショナルの信念に触れた。

「今日もね、外野で最後まで守っていたんじゃない? 孝介。スタメンで出ないのが分かっていても、そういう姿も見えていた」。

2月の沖縄・宜野座キャンプ序盤。新人の近本、木浪や高山、大山らを食事に連れ出した。豚しゃぶ店で同じ鍋を囲んだなかに打撃投手らの顔ぶれもそろう。福留は食事中に「裏方さんに感謝するのは大事だよ。投げるのも打つのも1人では練習できない」などと話したという。人知れず、一丸になるため心を砕いた。

シーズン中盤に入っても存在感は強烈だ。この一打で日米通算500二塁打。イチロー、松井稼に次ぐ史上3人目の好記録に花を添えた。「そういうこともあるんじゃない? 長く続けていれば」。さらりと受け流す姿が頼もしい。チームを支える男の真骨頂が光った。【酒井俊作】