230人目を斬った刀をひるがえし、返す刀で2度斬りした。西武中村剛也内野手は2回、阪神岩田のカットボールをバックスクリーンへたたき込む12号先制ソロ。この1発で、本塁打を打った投手数は230人目。巨人阿部に並ぶ最多となった。4回には、再びカットボールを左翼スタンド中段へ運ぶ特大弾。今季初の1試合2発だったが、チームは敗れ「ホームラン2本はよかった。チームは負けたけど」と浮かない表情だった。

2度斬りでもマウンドに立ち続けた岩田は、大阪桐蔭の同級生。同じ釜の飯を食った仲間だった。1年生のとき、道具を忘れた連帯責任で坂道ダッシュを命じられた。「練習中ずっとダッシュ。100本以上は走った。でも今だから言えるんですけど、1人ずつ交代で休んでいたんですよ」。監督の目から死角になった場所で「次はおまえ、その次はおまえ」と順番で休憩。酸いも甘いも味わった同級生との対決を、かつて夢だった甲子園で演じ「同級生と対戦できたのは、うれしいというか、よかった」と少しだけ顔を緩ませた。

高校時代は縁がなかった聖地で、通算本塁打を398本とし、400号の大台まであと2本。「風(浜風)はあまり気にせずやれている。悪くはない」と、交流戦最後の一戦に目を向けた。【栗田成芳】