阪神石崎剛投手(28)とロッテ高野圭佑投手(27)の交換トレードが合意に達し、4日に両球団から発表された。

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愚直に、憧れを追う日々だった。

「動作ひとつ、言葉ひとつ、全てが勉強になる。改めて、やっぱりすごい人なんだなぁと思いました」

今年1月の沖縄自主トレ。半袖姿の石崎が笑って話した。2年連続で「球児塾」に入門。藤川から、貪欲に学んだ。「球児さんは、食事であったり、車の中での会話であったり…。本当に全てが野球につながっているんです」。グラウンドにいるときだけが、野球選手じゃない。24時間365日、野球のことを考える。それこそが、プロフェッショナル-。野球人として吸収すべきことが、たくさんあった。

投げることのできない日々も、焦ることなく前進してきた。昨年6月に右肘クリーニング術を受けた。キャッチボールを再開した際に使用した、ザナックス社のグラブには「一歩ずつ」と刻んでいた。

実績があっても慢心はなかった。17年には26試合に登板して1勝1敗、防御率1・17をマーク。翌春には侍ジャパンメンバーにも選出された。だが、今季の開幕前には「ケガもしたので、現実的には敗戦処理から。また下積み段階で、結果を残していかないと。それが目の前の目標なので。結果で信頼度でつかんでいきたい」と再スタートを誓っていた。

今季2軍では18試合に登板して防御率は1・10と好調をキープしていた。1軍再昇格を目指して、主に7回を任されて奮闘。8回を左腕飯田、守護神・福永へのリレーをつないできた。

1軍再昇格で、憧れの藤川と「勝利の方程式」を組むことはなかった。だが、背中を追った日々は新天地でも生きるはずだ。【阪神担当=真柴健】