ソフトバンク千賀滉大投手(26)が7回を2失点に抑え、4年連続2桁勝利に王手をかける両リーグトップの9勝目をマークした。楽天打線に真っ向勝負を挑んで毎回10奪三振。2位チームを力でねじ伏せ、ゲーム差を今季最大の5に広げた。チームは今季初の7連勝で貯金も最多14。3年連続日本一を目指す工藤ホークスが独走態勢に入った。

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千賀はこの日も、大事な場面で三振を狙って奪った。1点リードの6回1死二塁は、本塁打を含むこの日2安打のブラッシュをお化けフォークで空振り三振。その後の2死一、二塁ではウィーラーから145キロのカットボールで空振り三振を奪い、グラブをたたいてガッツポーズした。「1点もやれない状況で三振を狙って取れたのでよかった。あのカットボールは理想通りだった」と会心の投球。7回も無失点に抑えた。

初回にこの日最速159キロを計測。スライダー、フォークも交えて眼下のライバル、2位楽天打線を2点に抑えた。「2位のチーム相手に3つ勝ててよかった。僕も流れに乗りました。6点も取ってくれた野手に感謝です」。初回に早々と3点をプレゼントしてくれた野手陣に頭を下げた。

今季はここまでローテーションを外れることなく投げ続けている。交流戦開けから球宴までの12連戦を重要視した工藤監督は、中5日を2回でエースを3試合先発させる作戦を考えていた。だが交流戦最終戦から出来すぎの? 7連勝。工藤監督は「結果は最高だった。まだ次回は決めていない。回復具合を見て」と明かした。予定していた前半最終戦の10日西武戦を回避できる状況になり、満を持して後半戦に臨ませるプランに転換したようだ。

一塁側スタンドからは、3軍選手17人が観戦した。藤本3軍監督の発案で、練習も見学していた。この日スタメンでフィールドを守った9人のうち、投手千賀、捕手甲斐、二塁周東、遊撃牧原と4人が育成出身だった。千賀は「3軍の子たちに、俺もああいう舞台に上がりたいと思えるように。何かを思ってくれたら」と力投する姿で大きな刺激を与えた。10年に育成4位で入団。「大学に行くつもりだったし、指名してもらった時はうそやん! 絶対ないやろと、信じられませんでした」と当時のことを話したことがある。140キロの原石は最速161キロに。育成からはい上がったエース右腕がより大きな存在となり、チームを引っ張っている。【石橋隆雄】