ヤクルト高橋奎二投手の静かな闘志と、冷静な判断が光った。

6回を被安打6ながら2失点で2勝目。チームは4月28~29日以来、約2カ月ぶりとなる5度目の3連勝。同一カード3連勝は、4月9~11日の広島戦以来、今季2度目となった。

頭の中は、冷静だった。5-1の3回1死満塁、打席には4番鈴木。最も警戒する打者だ。フルカウントの6球目。捕手中村のサインはチェンジアップ。首を振った。「スライダーの方が、ストライクが取れると思った」。外角低めのスライダーでタイミングをずらし、三ゴロ併殺。表情は変えず、淡々とベンチへ戻った。「まだ序盤だったから」と明かした。

5月29日に神宮で鈴木と対戦した際は、最も自信を持つ直球で真っ向勝負を挑んだ。闘志を前面に出し、まるで仁王立ちのような姿で気迫を見せたが、本塁打と適時二塁打を許した。

この日も序盤は広島打線に直球を痛打された。ベンチで中村と話し合い、4回以降は変化球主体に。スライダーとチェンジアップにカーブを交ぜ、4回以降は無失点。4イニングで先頭の出塁を許したが、粘った。「(カード頭の)小川さんがリズムを作ってくれて乗っていけた。しっかり粘って勝ててよかった」。自信になる1勝だった。【保坂恭子】