ついに貯金がなくなった。楽天がオリックスに完封負けし、17年9月以来2年ぶりに10連敗を喫した。

打線の不振が深刻で、連敗が始まった6月23日DeNA戦からの11試合は平均2得点で、無得点試合が4度。打線を組み替えながら連敗脱出に挑んでいるが、上位打線の結果が出ない。今日9日に敗れれば球団最悪の11連敗に到達し、借金生活に突入。復帰登板のエース則本昂大投手(28)に勝利を託す。

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楽天が球団最悪への瀬戸際に立たされた。2点を追う9回、勝ち運はやってこなかった。先頭の1番茂木の痛烈な打球は遊撃手に阻まれ、遊ゴロ。2番田中は空振り三振、最後はブラッシュが二ゴロに倒れて、今季最悪の10連敗を喫した。わずか2安打で二塁すら踏めず。試合時間は2時間42分、地方球場で今季初めて1万人を割り込んだ9857人のため息が漏れた。平石監督は「こちら側の責任。選手だけじゃない」と自らを責めるしかなかった。

“水物”の打線に呼び水を加えられない。6月23日のDeNA戦から引き分けを挟んで10連敗。連敗期間中のチーム打率は1割8分7厘(342打数64安打)で、交流戦後いまだ白星がない。深刻なのは、つなぎ役と主砲の不振だ。2番は田中ら5選手が務めて打率1割1分4厘、4番は浅村ら3選手が座り、打率8分3厘と苦しむ。この日の黒星は直近11試合で4度目の完封負け。5日から4番に座る浅村は、4戦で計13打数無安打で「つながらない原因は僕の不調。ふがいない」と唇をかんだ。

数字だけでなく無形の力を欠いたことも大きい。ここまで逆転勝利数はリーグ最多の21勝。しかし、直近では11試合連続で先制点を許し、はね返せていない。踏ん張りきれなくなった時期と符合するのは、ベテランの離脱だ。ベンチで若手を引っ張ってきた渡辺直が右足首の手術のため6月22日に抹消。平石監督は「いなくなって(渡辺)直人の存在の大きさに気づくと思う」と声などの貢献を評価。前カードでは「やっぱり最近はベンチがおとなしい」と喪失感を口にする。

もちろん、明るい材料もある。野手では精神的支柱の嶋も6日に復帰。登板数リーグ上位5人に入る松井、高梨、青山らに疲れが見える中、復活したハーマンが8試合連続無失点。先発陣も安定し、今日9日は則本昂が戻ってくる。平石監督は「エースの復帰を心待ちにしている。(流れを変える影響は)あります」と大黒柱に思いを託した。負ければ球団最悪に並ぶ11連敗。分水嶺(れい)の一戦に一丸で挑む。【島根純】