代役捕手に、2年ぶりのビックリ弾が飛び出した。1点を追う2回2死。阪神坂本誠志郎捕手(25)が会心のフルスイングを見せた。巨人菅野が投じた内角への146キロ直球を捉えた。打球は左翼席へ一直線。スタンドに歓喜と驚きの声が交錯した。甲子園では17年9月8日DeNA戦以来、668日ぶりの1発となる今季2号ソロ。「球界を代表するピッチャーなので、受けるのではなくて早めに振っていこうと」。大胆にバットを振った。ベンチ前では矢野監督が「矢野ガッツ」ではなく、首をすくめた驚きのポーズで出迎えた。

巡ってきたチャンスで結果を残した。7日の広島戦で梅野が左手首を負傷し、この日は先発メンバーから外れた。下位打線の起用にも、菅野の隙を突くように「8番を打ってて(代役の自分は)なかなか対戦することのないバッター。何かを起こしてやりたいなという気持ちはあった」。同点の3回2死一、三塁では内角シュートを中前へ運んで一時勝ち越しの適時打。7回にも3番手大竹から右前打で甲子園弾と同じ668日ぶりでプロ3度目の猛打賞。バットで存分にアピールした

この日は坂本にとって、今季4度目のスタメンマスク。公式戦で初めてバッテリーを組む先発西とグラウンド入りから寄り添い、話し合う姿があった。救援陣までをリードしたが1点差の惜敗。「粘っていきましたけど、勝ちたかった。勝つという結果が一番で、そこに求められていることをやるのが仕事だと思う。何とか次、勝てるように。もう1回準備したいと思います」。自らの活躍よりもチームの負けに悔しさをにじませた。

矢野監督は坂本のバットに「びっくりするような打撃を見せてくれた」と評価するも、リード面には「西の点の取られ方はちょっと悔いが残る」と課題も挙げた。代役での活躍に「もちろんチャンスは増える。チームとしても層は厚くなる。そういう存在はしっかり見せてくれたと思う」と今後に期待をかけた。【奥田隼人】

 

▼坂本の猛打賞は、17年9月2日中日戦、同8日DeNA戦に続きプロ3度目。この3試合すべてで本塁打を放っている。

▼本塁打は今季2本目で、4月4日巨人戦以来。今季巨人戦3試合に出場し、打率4割4分4厘(9打数4安打)の好成績。