阪神が痛恨の1敗を喫した。同点で迎えた8回にピアース・ジョンソン投手(28)がけん制悪送球や三盗でピンチを招き、決勝点を失った。巨人の足技にペースを乱され、信頼のセットアッパーが来日初黒星。首位巨人とのゲーム差は再び「7・5」に広がった。前半戦は残り2試合。宿敵にこれ以上、離されるわけにはいかない。

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命綱が切れた。阪神が足攻めに屈して、悔しい敗戦を喫した。開幕から33試合目。

ついに鉄壁のセットアッパー、ジョンソンが来日初黒星となった。矢野監督は8回に勝ち越し点を許した助っ人右腕を「対戦が多くなってきたら、そういうスキみたいなものを突いてくるのは、いい経験。1年間戦っていけばこういうこともある」とかばった。

暗転したのは同点に追いついた直後の8回1死一塁。巨人原監督が送り込んだ刺客にジョンソンがしてやられた。中前打の岡本に代走増田大。快足のスペシャリストに翻弄(ほんろう)される。一塁にけん制球。立て続けの2球目だった。一塁陽川のグラブをかすめて、白球はファウルゾーンを転々とする悪送球。その直後、初球を投じると二塁に立つ増田大に完全にモーションを盗まれた。走者を警戒しきれず、痛恨の三盗を許してしまった。

瞬く間に1死三塁と絶体絶命のピンチを招く。内野は前進守備。陽岱鋼のボテボテのゴロは遊撃植田の正面へ。だが、三塁走者増田大はゴロゴーの猛スタートを切る。ギリギリのタイミングで植田が逆シングル捕球を試みたが後逸。適時内野安打で、勝ち越されてしまった。実に5月15日巨人戦(東京ドーム)以来、13試合ぶりの失点となったがジョンソンは前を向いた。

「これが野球だ。状態は悪くなかった。結果的にああなったが、悪くはなかった。まだ、たくさん試合がある。気持ちを新たに頑張っていきたい」

コンディション不良で6月の交流戦を離脱したが大車輪の働きだったのがPJだ。試合前まで32戦で驚異の防御率0・56が物語る。セ・リーグ3位タイだった12試合連続ホールドで止まり、痛恨の1敗となった。

指揮官は「今日負けてめちゃめちゃ悔しい。頭もウチとしては絶対取りたい試合やった。悔しいけど、明日、あさって何とかリベンジをね」と顔をしかめた。勝てば9年ぶりの巨人戦5連勝だったがストップ。令和初のG戦黒星でゲーム差は再び7・5に開いた。前半戦の勝ち越しもお預けとなった。もう離されるわけにはいかない。球宴まで残り2試合に死力を尽くす。【酒井俊作】