日本ハム浦野博司投手(29)が780日ぶりに先発で白星を挙げた。

ショートスターターだった前回登板から中7日で臨んだ今季2度目の先発マウンドは、5回2安打1失点と好投。17年5月19日オリックス戦(札幌ドーム)以来の先発勝利で、チームの連勝を4に伸ばすとともに、苦しい先発陣の救世主に名乗り出た。

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この日の67球目。浦野が全力でストレートを投げ込んだ。4点リードの5回2死二塁。あと1死で勝ち投手の権利を得る局面も、真っすぐで押した。藤岡に対し、高めに浮いた144キロも、バットを押し込む威力があった。力のない中飛で先発の責務を果たした。「腕を振って、先を考えず、とにかく1人1人、丁寧に投げました」。目の前の勝負に集中した結果、780日ぶりの先発勝利が待っていた。

先発でも、リリーバーの心構えでマウンドに立ち続けた。「中継ぎをやらせてもらったので、その気持ちでやらせてもらっている感じですね」。昨季は先発で結果が出ず、中継ぎへ配置転換されてから新たな境地を開拓。奪三振能力が高く、一時はクローザーも担った。再び戻った先発マウンドで、貴重な経験を生かした。「腕を振った結果」キレのある直球が生まれ、変化球も生きた。最速149キロをマークしたストレートは最後まで力強かった。

前回登板から中7日の調整期間で、きっちり先発投手としての状態を整えた右腕に、栗山監督も「素晴らしかった。魂の投球だったね」と絶賛した。今季は2軍落ちも経験した浦野は「チームに貢献できていなかったので、与えられたところで結果を出したい」と言った。経験豊富な右腕が、手薄な先発ローテを救える実力を示した。4連勝で首位ソフトバンクに食い下がるチームにとって、大きな収穫となった。【木下大輔】