悪球先頭弾だ!! 広島西川龍馬内野手(24)が2試合ぶり自身2度目の先頭打者本塁打でチームを5連勝に導いた。

後半戦から1番に起用されるバットマンが見事にその期待に応えている。特に1打席目の打席では高い集中力を発揮して、打線を勢いづける働きを見せる。勝率5割復帰まであと1つ。新切り込み隊長が逆襲の先頭を走る。

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見逃せばボール球に「勝手に反応した」。1回、1番西川はフルカウントから高めの悪球に、バットを上からかぶせるように振り抜いた。球の軌道を初めて見る中日プロ初先発山本の7球目を打ち砕いた。右翼席に飛び込む2試合ぶり2度目の先頭打者弾が、5連勝に導く決勝弾となった。

「何とか食らいついていけた。変化球はどないかなるやろうと思って真っすぐに絞った」。

従来のストライクゾーン=ヒットコースではない。ワンバウンドすれすれの低めも、この日の高めも「勝手にバットが出てくる」と天才肌。もともと定評のある高い打撃技術が後半戦から与えられた1番という新境地で磨かれている。

8試合で打率3割7分5厘で打線をけん引する。特に1打席目は「全球種見たい。トップバッターなので、その日の先発の状態とか変化球がどんな感じかいろいろ見たい」と役割を理解する。初球打ちで二塁打にした1打席をのぞけば、8打席で1打席平均5球以上投げさせている。その上で7打数5安打2本塁打1四球。チームも4試合で初回に得点を挙げるなど好循環を与えている。

今季広島は1番打者を固定できていない。不動だった田中広が大不振。その後野間など9選手を起用するも、前半戦は打順別打率で2割を切るなど役割を果たし切れていなかった。重要なピースをようやく見つけた緒方監督は「ボール球を振る子なんだけど、そこが彼(の持ち味)。もう少し技術が上がってくれば、もっと嫌な打者になる。1番として得点源になってくれて打線の形になっている」。新たな切り込み隊長が打線を勢いづけ、チームは5連勝。借金を一気に減らし、勝率5割復帰が目前だ。【前原淳】