4番の一振りで勝負を決めた。巨人岡本和真内野手(23)が逆転の22号2ランを放ち、チームを勝利に導いた。

1点を追う4回1死一塁、阪神高橋遥人の直球を右中間席に運んだ。12日からの広島3連戦を終え、帰京予定だった15日は台風10号の影響で交通機関がストップし、広島に延泊。この日の早朝に新幹線で移動する強行日程をはね返した。2位広島との差は4・5ゲームで、最短20日に優勝マジックが点灯する。

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岡本は「左やったら、一番速いです」とマークする高橋遥の直球に狙いを絞った。1点を追いかける4回1死一塁。1ボールからの149キロの直球だった。内寄りのボールに体をやや右側に傾け、しっかり距離を取って、右中間席に22号逆転2ランをぶち込んだ。「来たボールに素直に。芯ではなかったんですけど、いい感じでボールをとらえられて、しっかり押し込めた」と冷静に分析した。

強行日程もプラスに変えた。帰京予定だった15日、台風10号の影響で交通機関が乱れ、広島に延泊。遠征地での休養日を余儀なくされた。「前日から分かってたので。起きたら12時くらいで、ホテルの部屋でYouTubeを見たり、ゆっくりした」と休養に充てた。夜は元木コーチ、若林、増田大、山本、北村とともに焼き肉で栄養補給。早朝の約4時間の新幹線移動も爆睡で体調を整えた。

夏場でも「いっぱいご飯を食べられる」と胸を張る食欲旺盛な主砲は、頭の中から「疲れた」のワードを消し去った。昨季は8月に月間最多の8本塁打。今季もすでに5本塁打、16打点を稼ぐ。「『疲れた』って単語が頭の中にないから、僕は疲れないんです」。本音なのか、冗談なのかは謎。ただ、数字は明らかで、8月は本塁打、打点ともに今季の月間最多だった4月の7発、18打点を更新するペースで積み上げる。

魅力たっぷりの謎多き4番の活躍に、原監督も「(状態については)よく分かりませんね。まだ彼は途上の人。これからどんなに大きくなるか、僕自身も想像ができない人ですから。測ることはできませんね」と常識をも超えたスケールの大きさに、表現する言葉が見つからなかった。「まだまだ、頑張ります」。勝負の8月、「岡本の夏」が到来した。【久保賢吾】