阪神高山俊外野手(26)が3回に先制決勝の2号ソロをバックスクリーンにたたき込み、会心の2連勝を導いた。左足負傷の糸井嘉男外野手(38)が離脱中で代役筆頭を務めるが、3割打者の先輩が帰ってきてもポジションは渡さない意気込み。逆転CSへ3位まで4・5差と半歩迫り、ネバーギブアップで戦い続ける。

  ◇    ◇    ◇

研ぎ澄ませた嗅覚で、高山がロックオンした。「真っすぐ1本(狙い)でいきました」。16年新人王のヒットマンが狙いを絞って強振。「行ってくれ!」。願いも込めて舞った打球はグンと伸びた。バックスクリーン右への着弾を確認すると、強く拳を握った。

3回先頭。上茶谷の2球目、真ん中に来た141キロ直球を逃さなかった。5月29日巨人戦の延長12回、劇的な代打サヨナラ満塁弾を放って以来3カ月ぶりの2号ソロ。今季2敗を喫している新人に、ドラフト1位の先輩が意地を見せた。「ああいう弾道を打っても甲子園だったら、アウトなので…。京セラで良かったと思います」。甲子園で何度も浜風に泣かされてきた男が、ニヒルに笑った。

お立ち台では先輩いじりも出た。「きのう糸原さんが(今季)2本目のホームラン打って、さすがに糸原さんにホームランで負けたらヤバイなと思ったんで。狙ってはなかったですけど、2本目が打ててよかった」。巧打者のイメージが強い1学年上の明大の先輩には負けられない。半分本気の? トークも絶好調だ。

20日DeNA初戦は糸原、マルテ、梅野の3発が出て8-0で快勝。だが途中出場の高山は代打で三振に倒れ、心からは喜べなかった。この日は早出特打を敢行。「(前日の)三振もあまり良い形ではなかったので修正したい部分もあった」とバットを握った。左足負傷で離脱中の糸井の代役筆頭で左翼を任されるが、左投手がくれば前日のように控えに回ることもある。だが、訪れたチャンスは逃したくない。糸井が復帰しても、その座を譲らない気迫をバットに込めた。

ただ、矢野監督はちょっと手厳しい。「今日の1本じゃ、俺も満足できない。あいつ自身もそう思っていると思う。やっぱりチャンスで。もう1個プラスアルファは、俊自身も求めている」と期待が大きいゆえの注文を出した。もちろん、高山も承知だ。「(後の)2打席は凡退していますし、見栄えも悪い。反省していきたい。明日はもう少し格好いいところを見せられるように頑張りたい」。

目指す逆転CSへ、3位DeNAに4・5差と半歩接近。あふれる思いは結果で示す。【真柴健】