“燕のゴジラ”が、清宮世代の新・旗頭となる。ヤクルト村上宗隆内野手(19)が、3試合ぶりとなる29号ソロを放った。1-0で迎えた2回先頭、カウント1-1から真ん中に入った広島野村の129キロチェンジアップを捉え、右翼席へ運んだ。「しっかり対応して打てたので、よかった」とうなずいた。

この1発で87年の清原を抜き、歴代単独2位となる84打点。「すごい選手」と話す偉大な先輩を超えた。本塁打数でも、高卒2年目以内ではセ初となる30号に王手をかけた。

“清宮世代”と呼ばれてきた。同学年には、高校時代から既に名前が全国区だった日本ハム清宮、ロッテ安田、広島中村奨らがいる。一方の村上は、九州学院で甲子園出場は1年夏の1度のみ。ドラフト1位ながら、知名度はそこまで高くなかった。しかしそこから2年。「そんなに気にしていないけど、たまに成績が出てくる時があると見る」というライバルたちを一気に追い抜いた。最下位ながら、チームで唯一全試合に出場する今季。新人王候補に挙がるほどの成績を残している。「やるからには1番が目標。ずっと出してくれる監督に尽きます」。言葉には出さずとも、にじみ出る負けん気。世代を代表するスラッガーへ、前進する。

チームが敗れ、試合後の表情はさえなかった。同点で迎えた8回2死一塁、広島5番手の遠藤の内角チェンジアップを捉えるも、フェンス手前で失速し右飛。勝ち越しのチャンスを逃し、唇をかみしめた。「あそこで本塁打を打てるバッターになりたい」。悔しさを糧に、突き進む。【保坂恭子】

◆高卒2年目までの本塁打記録 53年中西(西鉄)の36本が最多。次いで86年清原(西武=1年目)が31本。村上は29号で、2年目の清原が87年に打った29本に並ぶ3位タイとなった。