日本ハム清宮幸太郎内野手(20)が、西武21回戦(メットライフドーム)で1年ぶりの2試合連続本塁打を放った。2-1で迎えた6回1死一塁で、佐野泰雄投手(26)から追加点の右越え2ラン。左腕からは2戦連発で、8回の第4打席では右前打で出塁も。前日21日まで、対左腕に打率1割2分8厘と苦しんでいたのがウソのような活躍で、停滞気味のチームを4位浮上に導いた。

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前夜のリプレーのように、右翼席へと打球が伸びた。1点リードで迎えた6回1死一塁。打席に立った日本ハム清宮は、冷静だった。「しっかり頭の中を整理して打席に入れたので、それが良かったです。球の軌道もそうだけど、球種とか」。昨季の2軍戦も含めて、西武佐野との対戦は過去4打数無安打。カウント1-1から、高めに浮いた142キロ直球を強振した。2夜連続の5号2ランが、右翼席中段に突き刺さった。

経験を積むことで、ゆっくりと成長している。21日まで、対左の打率は1割2分8厘。前夜、苦手の左腕から2年目で初本塁打をマークすると、この日は2ランに続いて、8回の第4打席でも4人目の左腕、野田から右前打と、苦手克服に期待が持てる内容だった。4回の第2打席では、粘って四球で出塁。今までにはない進化を見せた。

真っすぐを待っているのに、ボール球の変化球に手を出して簡単に打ち取られてしまう。そんな試合が、何試合も続いていた。転機は7月31日の札幌ドーム。試合後のブルペンで、担当スカウトだった岩舘スコアラーと始めたマンツーマンの“個人レッスン”だ。1人でティー打撃をしていたが「ボールが見えていないから、じっくりとボールを見て、軸足に体重を乗せ、しっかり打つ練習をしよう」と、緩い球をトスして打つ練習を教えられた。球場を出るのは午後11時過ぎで、選手の中では最後の方。地道な居残り練習は、間合いを取る訓練にもなった。

うれしいことが、あった。前夜、西武山川が「格好いい」と本塁打する姿を褒めてくれたことだ。「リップサービスだと思いますよ」と照れながらも「ウソでもありがたいです」。一振りで試合を決める。打席で威圧感を放つ。いつかは、そんな山川のような存在感を放つ打者に-。ちょうど1年ぶりの2戦連発でチームを勝利に導いた20歳の成長が、佳境を迎えたシーズンの鍵を握る。【中島宙恵】

▽日本ハム栗山監督(4回は逆転につながる四球、6回は2試合連発の清宮に)「一番良かったのは、ナベ(渡辺)の本塁打の前に粘れたこと。そういうことができないと前に進まない。ああいう(四球)の取り方は初めて見た」

▼日本ハム清宮が今季初の2試合連続本塁打をマークした。2戦連発は今季チーム3人目で、中田が開幕2戦の3月29、30日オリックス戦(札幌ドーム)など計3度、大田は6月1、2日オリックス戦(京セラドーム大阪)で記録している。3試合連続アーチはなく、清宮は今日23日オリックス戦で3戦連発なるか。