阪神梅野隆太郎捕手が渋く勝利に貢献した。勝負への貪欲さを見せたのは4点リードの9回だ。先頭で出塁すると、立て続けに二盗、三盗に成功。木浪の一ゴロの間に生還した。いぶし銀だった。

「走れる捕手」の面目躍如だ。今季12盗塁となり、捕手だけでの同数盗塁は球団で50年徳網茂(135試合)以来、69年ぶりの快挙。梅野は言う。「塁に出ている以上、走塁への意識は強く持っている。トライして積極的にいけている。自分のためにも自信になる」。捕手登録選手では95年関川以来の12個目だが、関川は外野手としても26試合に出場。梅野の脚力が際立っている。

フォア・ザ・チームの盗塁敢行だ。「相手バッテリーも、真っすぐ系が多くなるから」。走れると分かれば、敵も警戒して次打者は速球系に的を絞りやすくなる。捕手らしく、相手の配球心理まで思いをはせる。矢野監督も「リュウの足だけで取った1点と言ってもいい」と褒めた。

守備も存在感を示した。1点差の7回1死三塁。バレンティンの飛球は中堅へ。近本の送球は浮いたが、左腕を伸ばして捕ると滑り込んでくる山田哲とクロスプレー。市川球審はセーフのジャッジを下したがリクエストでアウト判定だ。間一髪、同点犠飛を阻んだ。無安打でも、堂々と立役者になった。【酒井俊作】