獅子の爪が、ついにタカの翼に手をかけた! 西武が山川穂高内野手(27)の2年連続40号アーチなどで打ち勝ち、ソフトバンクとの首位攻防第2ラウンドに勝利。ゲーム差なしとし、今日1日に勝てば、今季初の首位に立つ。2年連続の歓喜の秋へ、山賊たちが打って打って、打ちまくる。

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主砲のバットで、3万人超で埋まった本拠地メットライフドームは興奮のるつぼと化した。

まずは1回。3点を先制し、なお2死三塁でソフトバンク和田の外角低めチェンジアップを、リストを利かせてバックスクリーンに運ぶ39号2ラン。流れを引き込む技ありの1発に「芯には当て切れたのでよかった。『入れ~』と思いながら走りました」。

3点差に迫られた7回無死では、ソフトバンク高橋純の151キロ直球を完璧にはじき返し、左翼席にたたき込む40号。終盤での貴重なソロに「あれは『半詰まり』です。逆に詰まった方が真っすぐ飛ぶこともある」とうなずいた。勝利を呼び込む2発で、2年連続の両リーグ40号一番乗り。「相当うれしいです」と笑顔を見せたが、すぐに「(目標)50本と言ってたけどこれからは1本ずつ。次は『41号』をしっかり打てるように」と引き締めた。

“ハイブリッドバット”が価値ある「おかわり」を生んだ。大歓声のお立ち台。「今日バットを替えたのでよかったです。中村さんのグリップエンドの形をした僕のバットです」と秘密を明かした。これまではグリップ部分がなだらかに太くなっていく「タイカッブ型」のグリップエンドに小指をかけるようにして握っていた。これを、ミズノ社に依頼して、中村のバットと同様のノーマル型に仕上げてもらったという。ヘッドの形状や長さは従来と同じ。「ロッカーでずっと握っていたけど替える勇気がなくて。今日思い切って替えてよかった」と笑った。

“恩人”の4番中村が好調を維持する中、8月は主に7番として打率2割6分3厘、9本塁打で25打点。山川のバットに引っ張られるようにチームは5連勝で貯金は今季最多11。最大8・5あった首位とのゲーム差を、ついに0にまで詰めた。「ここまでくると『僕が打たないと』という気持ちもない。個人記録も大事だけど、ここから先はチームの勝利」。新たな相棒をひっさげ、チームのために打ち続ける。【鈴木正章】