エースが、1球に泣いた。DeNA今永昇太投手(26)が、7回わずか2安打ながら2失点。1点リードで迎えた6回に、巨人岡本に初球を逆転2ランとされた。

中8日で臨んだ首位巨人との直接対決。初戦を落とし、ゲーム差は5に広がった。シーズンが佳境に入る中でチームは手痛い5連敗を喫した。奇跡の逆転Vへ、もう勝つしかない。

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1球だった。初球だった。1点のリードをもらい、耐え忍び、5回まで散発1安打無失点。迎えた6回だった。今永は、2死一塁で岡本を迎えた。投じた宝刀チェンジアップは、無情にもど真ん中へ。打球の行方を見つめ、体をのけ反り、思わず「うわー」と声が出た。何度も首をかしげた。悠然とダイヤモンドを1周する岡本を見つめるしかなかった。「本塁打だけは打たれてはいけないところで、変化球が甘く入ってしまいました」。痛恨の逆転2ラン。反省の言葉しか出てこなかった。

7回2安打で2失点。誰が見ても、上出来。先発投手としては及第点以上の働き。そんな内容でも、勝利には結びつかなかった。試合終了とともに、ナインがベンチ裏に引き揚げる中、今永だけは、ベンチ最前列でぼうぜんとしていた。中8日を空けて、臨んだ天王山の初戦。「立ち上がりは、慎重に投球しようという思いが強く球数を要してしまいましたが、なんとか粘り強く5回まで無失点で抑えることができました。次回登板では、粘り強い投球をすることと、リードした状況で中継ぎにつなぎたいと思います」と悔しさをかみしめた。

前日は台風15号の災難を受けた。横須賀市内の新2軍施設での投手練習に、普段は40分のところ、5時間半以上の運転で到着。帰路も渋滞に巻き込まれ、約3時間を要した。7回2死で田口の場面では、3球目を投げ終えたところで背中付近を気にし、いったんはベンチに下がった。それでも、再びマウンドに上がり、投げ終えた。気合満点。魂の112球だった。

エースで止められなかった。手痛い5連敗。巨人とは5ゲーム差となった。それでも、吉報も舞い込んできた。8月9日に左有鉤(ゆうこう)骨骨折の手術を受け、2軍調整中の宮崎が、早ければ11日にも1軍復帰の見込みとなった。ラミレス監督は「明日勝てば、また勢いがつく。連敗の後には、連勝がある」と先を見据えた。逆転Vへ、勝つしかない。【栗田尚樹】

▽DeNAロペス(3回に先制の28号ソロも空砲)「追い込まれていたので、大振りはしないように意識してスイングしました」

▽DeNA梶谷(4回守備でゲレーロの大飛球を右翼フェンスにぶつかりながら好捕)「ただ、走っていたら捕れただけです(笑い)」