“3冠右腕”が赤ヘルをねじ伏せた。巨人山口俊投手(32)が、広島打線を8回途中4安打1失点に抑え、ハーラー単独トップの14勝目(4敗)を挙げた。奪三振も10個を重ねて今季通算175とし、DeNA今永を抜き、勝率とともにリーグトップに立った。優勝マジックは1つ減り「6」。最短での優勝は16日阪神戦(東京ドーム)となる。

宝刀で仕留めた。2点リードの7回2死一、二塁。代打坂倉を、ど真ん中からスッと沈むフォークで空振り三振に斬った。「点差を詰められたくなかった。何とかリードの状態でいきたかった」。ピンチにも表情一つ変えない。行きかけた流れをせき止めた。

安定感は向上心が支える。7月中旬から曲がり幅の小さいスライダーを活用。元々のスライダーのイメージをぼかし投球幅を広げるためにシーズン序盤から改良を重ねていた。カットボールを得意とする菅野、マシソン、デラロサらに自ら足を運び、握り、投げ方を教わった。この日は自慢の直球、フォークに次ぐ24球(21・6%)を投球。「全部の球種でストライクがとれた」と得意球の威力を最大限に引き出した。

8回2死一塁、111球と余力十分で降板。交代を告げられた際は一瞬、驚いた表情も見せたが「投げきりたい気持ちもあるけど(中川)皓太が頑張ってくれた」と頭を下げた。14日広島戦は中継ぎの沢村が先発し今季初の「ブルペンデー」を予定。「今年ここまでやれているのは野手、リリーフ陣のみなさんのおかげ。感謝しています」。救援陣へ次の1勝へのバトンを託した。【桑原幹久】

▽巨人原監督(14勝目の山口に)「ボールそのものは非常に良かったですね。会沢に(3連続)フォアボールというのがね。越えてほしいね」