西武の誇る山賊打線が12安打12得点でロッテ投手陣を粉砕し、2年連続23度目のパ・リーグ制覇を果たした。

守護神増田が最後の打者マーティンを空振り三振に仕留めマウンド付近には歓喜の輪ができた。辻発彦監督がゆっくり輪の中に歩を進め、小柄な体が10度、宙に舞った。「今年始まって優勝の目標に向かって出発して中盤苦しかったけど選手がびっくりするぐらい頑張ってくれた。本当にピッチャーもいろいろ言われ、増田や平井がもがいてもがいて頑張ってくれた。野手は長期離脱なく頑張ってくれた。精神力と肉体の強さが2連覇につながった。正直言って今年はしんどいかなと思ったけど選手が主力が抜けても勝てるんだということを見せてくれた」。顔は紅潮していたものの辻監督にとってリーグ優勝は通過点。涙はなかった。

苦しい道のりだった。エース菊池雄星がマリナーズへ、主軸の浅村が楽天、炭谷も巨人へFA移籍するなど主力3選手を失っての船出となった。ソフトバンクとの開幕戦ではいきなりの3連敗。夏場まで3位と4位を行ったり来たりの戦いが続いた。しかし、8月から反攻を開始。首位打者を走る3番森、打点でトップの4番中村、本塁打部門で首位の山川ら3人を中心に苦しい投手陣を補ってあまりある山賊打線がけん引。ソフトバンクの優勝マジックを消滅させ、勢いそのままにゴールテープをきった。

この日、今季を象徴する山賊打線が火を吹き、2回に栗山の先制適時打など打者10人、4安打を集中させ一挙5得点。序盤の先制パンチで試合を決定づけた。3回に43号2ランを放ちダメ押しした山川を筆頭に秋山、森、中村、外崎と日本人の20発以上が5人。日本人5人による20本は、01年巨人(松井、江藤、清原、高橋、仁志)以来18年ぶり。パ・リーグでは初の快挙となった。

西武後藤高志オーナーは今季の戦いぶりに「一時はソフトバンクと8・5ゲーム差。開幕のときは厳しいことを言われたが、ライオンズはそんなヤワじゃない。先を見据えてやってきた辻監督の手腕は立派なモノ」と指揮官を信じていた。

辻監督にとっても雪辱を胸に秘めた1年だった。昨年リーグ優勝を果たしたものの、クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージでソフトバンクに敗れ、下克上を許した。CS敗退が決まった2018年10月21日、本拠地で行われた試合後のセレモニーでは、17年に父を亡くした時にも人前では涙を見せなかった九州男児が人目をはばからず泣いた。「悔しいです。まさか今日、2018年のシーズンが終了するとは考えてもいませんでした。(2017年2位となった)去年の悔しさを今年、晴らした。今年の悔しさは1つ上のレベル。この悔しさをもってチーム力を上げていかないと」。悔しさをバネに、辻監督が、まずはリーグ優勝の第1関門を突破した。

第2関門は、昨年苦杯をなめたCSファイナルだ。11年ぶりの悲願の日本一へ、辻監督がもう一度手綱を締め直した。