引退試合に先発した阪神ランディ・メッセンジャー投手(38)が打者1人と対戦し、全球直球勝負で締めた。

マウンドに上がると「ファイト! ファイト! ランディ!」の大合唱。1番大島に投げ込んだ6球は全て直球だった。1、2球目と低めに外れて連続ボール。3球目の143キロで空振りを奪うと、甲子園は大きな拍手に包まれた。

4球目の145キロは内角高めに浮くボール。少し笑みがこぼれたように見えたが、5球目の145キロで空振りを奪い、フルカウントから最後は渾身(こんしん)の146キロ直球で空振り三振に仕留めた。

最後の投球を終えると、メッセンジャーは帽子を脱いであいさつ。梅野、北條、大山らがマウンドに集まり1人ずつグータッチ。最後は長らくバッテリーを組んできた梅野と力強く抱き合った。

来日10年目。この日で通算263試合登板となり、奪った三振は1475。98勝84敗。開幕投手を6度務め、2ケタ勝利を7度マークするなどエースとして君臨し続けた。

矢野監督が交代を告げると、花束を持ってきたのは、今季限りでの退団が決まっている鳥谷。花束を渡すと、再び強くハグをした。ベンチに向かう際には、多くのファンが立ち上がって拍手を送った。虎党の記憶に強く刻まれた右腕も、さまざまな思いがこみ上げているような、万感の表情だった。

▽中日大島(メッセンジャーの最終登板で対戦)「同期だし、すごいピッチャーの最後に立ち会えて良かった。僕でいいのかな、とも思ったけど(笑い)。いい投手だった。スライダーは切れるし、フォークも真っすぐの軌道で来る。今日は引退する選手のボールには思えなかった」