ソフトバンクが2年連続の下克上日本一へ「奇策」を繰り出す。クライマックスシリーズ(CS)は9日にファイナルステージ(S)が開幕し、リーグ連覇の西武と敵地で対戦。

優勝チームが1勝のアドバンテージを持つ6試合制に向け、工藤公康監督(56)は第2戦以降の先発ローテーションを固めず、戦況などによって変える「流動的ローテ」で挑む。第1戦は和田毅投手(38)が先発する。

   ◇   ◇   ◇

決戦を翌日に控え、ヤフオクドームでの投手練習を見守った工藤監督は先発投手について「決めているのは1戦目まで」と不敵な笑みを浮かべた。リーグ連覇を許した西武の強力山賊打線に立ち向かうため、ファーストS突破を決めた前夜から「勝利の余韻に浸っている暇はない」と寝る間も惜しんで頭を悩ませた。

第1戦は38歳の和田で先陣を切るが、第2戦以降の先発は現時点で決めていない。鍵を握るのは初戦の勝敗だ。

レギュラーシーズンと違ってCSの予告先発は、第2戦以降は試合終了後に発表される。各チームは試合終了までにNPBへ翌日の先発投手を伝える決まりで、戦況に応じた使い分けも可能。工藤監督は「勝つ負けるで状況が変わる。向こうにアドバンテージがあることも考えれば…」と思考を巡らせた。

エース千賀は5日のCSファーストS楽天戦で投げており、中4日なら10日の第2戦で先発できる。だがコンディション面から1日でも長く間隔を空けたいという思惑もある。例えば第1戦で勝ちそうな展開なら、第2戦は武田ら他の投手が先発し、仮に負けそうなら、千賀を前倒しで投入ということも可能だ。ファーストSで投げたバンデンハーク、高橋礼も中4日で詰めていく可能性がある。

当然、選手たちには想定できるあらゆる可能性を伝え、心の準備をさせている。指揮官は「今年は最後と思うくらい、みんなで振り絞ってやっていくことが大事」と力強く言った。打てる手はすべて打ち、勝ちを絞り出す。【山本大地】