神様、仏様、球児様…。阪神藤川球児投手(39)が炎の2イニングで試合を締めくくった。

6-6の8回に登板すると2回を気迫の29球で無安打無失点。9回に大山の勝ち越し弾が飛び出し、ポストシーズン勝利を手にした。CSファーストステージ突破を決めた7日DeNA戦(横浜)に続く、自身2試合連続のイニングまたぎも涼しい顔。「全然疲れてない。今年は全然イニングまたぎもなかったから」と笑った。

見せ場は最終回の主軸斬りだ。先頭坂本勇を2-2と追い込んで外角低め149キロで中飛。続く丸からフォークで空振り三振を奪うと、最後はこの試合3安打の4番岡本と力勝負。3球目149キロで遊ゴロに仕留めると、右手を強く握りしめた。勝利の立役者は「みんなが1点でも少なくと戦ってきてくれた。僕がどうこうではない」とサラリ。今季はレギュラーシーズン巨人戦10試合で防御率0・00。極限の場面でも普段の力を発揮した。

頼もしい守護神の躍動に矢野監督も賛辞を惜しまない。試合後に藤川の話題になると「いやあ、あれはねえ…、すごいよ」と絶賛。「見てても力抜けてたからね。球児も力んでないというか。俺も楽しむって言ってるけど、この状況の場面を、ある意味、そういうように見えたし、だからこそ力まない。そういう部分は出てたと思う」と褒めちぎった。

まだシーズンを終わらせない。この日の練習前、藤川は外野で投手陣が作る輪の中心にいた。負ければ今季が終了する崖っぷちの一戦。経験豊富なベテラン右腕は約3分間、20代が多い若手投手陣に最後まで戦い抜くことを呼びかけた。「ファンの方に1試合でも多く(見せたい)と思う」。強い思いが藤川を突き動かす。【桝井聡】

▼藤川がファーストS第3戦DeNA戦に続き、今CS2度目の2イニングを投げ勝利投手に。16年の阪神復帰後、藤川は救援登板して2イニングを投げたレギュラーシーズン14試合中、失点したのはわずかに1度。CS2試合を合わせた16試合では、防御率0・84という驚異的な好成績だ。このうち巨人戦6試合では、12イニングで無失点、被安打3と完璧に封じ込んでいる。