特徴的な指名を行った球団が複数あった。まずは阪神。1位西、2位井上、3位及川、4位遠藤、5位藤田と立て続けに高校生を指名。しかも、全員がセンバツや夏の甲子園に出場しており、高校野球ファンになじみ深い。社会人や大学生の即戦力から指名してきた戦略を180度、転換した。甲子園が本拠地だけに、近い将来、戦力としてだけでなく、人気面でも大きな期待が持てる。

ヤクルトは投手、しかも即戦力に徹した。1位奥川は高校生とはいえ、完成度が高い。2位吉田、3位杉山、4位大西も、いずれも先発ローテに入る可能性がある。今季のチーム防御率は12球団最低の4・78。チーム事情に即した。

オリックスは育成選手を大量指名した。育成ドラフト史上最多タイとなる8人だ。対照的に、支配下選手指名は今年の12球団最少タイ5人にとどめた。分母を増やし、競争で底上げしようという意図がうかがえる。ソフトバンクも育成を7人指名したが、これまでも大量指名している。オリックスの方針転換は顕著だ。

即戦力、将来性、ポジション、左右などバランス重視が全てではない。あえて偏った指名をする。1つの戦略を示した、今年のドラフトだった。【アマチュア野球キャップ・古川真弥】