東北福祉大(仙台6大学1位)が甲子園優勝右腕・綱脇慧(2年=花咲徳栄)のノーヒットノーランで、4年ぶり26度目の明治神宮大会(11月15日開幕)出場を決めた。第1戦は仙台大(仙台6大学2位)に延長12回タイブレークの末、1-2でサヨナラ負け。1位チームに与えられる1勝のアドバンテージにより、綱脇は直後に突入した第2戦で4-0の快勝を導き、チームを救った。わずか92球で5奪三振2四死球。公式戦自身初の偉業達成で歓喜の輪の中心に立った。

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綱脇が最後の打者を左飛に打ち取ると、マウンド上で手を突き上げながら、何度も跳びはねた。上級生から感謝のボディーアタック。手荒い祝福も心地よい。高校3年の甲子園で優勝も、埼玉大会を含めてかなわなかった胴上げ投手。「4年生もいる中で投げさせていただき負けられない思いだった。最高にうれしい」。神宮切符だけでなく、仲間の信頼も勝ち得たノーヒッターとなった。

5回に味方失策で完全が途切れ、6回に初四球を許しても「3点取られても大丈夫」と集中力を維持した。3回終了以降は、第1戦で決勝打を喫した同期の三浦瑞樹投手(2年=盛岡大付)がブルペンからベンチへ「ノーヒットノーランだぞ~」と助言? に急行。「毎回来て、声はデカイし、やめてほしかった」と苦笑いも、どこか気が和み安らいだ。

「甲子園V腕」の肩書も、今春までのリーグ戦は1年春に先発して3回を投げただけ。三浦や椋木蓮(2年=高川学園)ら同学年投手が中心を担う中、「目先ではなく将来を」と言い聞かせ、着実に自分を磨いてきた成果が実った。自転車のゴムチューブを使って肘の強化や投球フォームを形成。今秋リーグ最終節の仙台大戦で6回1安打無失点の好投で抜てきされた大舞台で「全球種を内外角に投げられ、すべてのボールが良かった」と、緩急抜群の制球力に胸を張った。

神宮球場は実家から自転車で約15分の聖地だ。「まだ1度も投げたことがないので楽しみ。とにかくチームの力になりたい」。最優秀選手、最優秀投手ダブル受賞の勢いのまま、凱旋(がいせん)登板で再び日本一に挑む。【鎌田直秀】

▽東北福祉大・元山飛優内野手(3年=佐久長聖、第2戦の初回に右翼ポール際への先制ソロ)「手応えありました。あとは切れへんで、頼む~って感じ。ぜいたくですけれど春は1度優勝しているので、秋も全国優勝したいです」