広島大瀬良大地投手(28)が今秋に投球フォームを矯正することが10月31日、分かった。

すでに秋季練習から2段モーションを封印。1度上げた左足をそのまま踏み出すシンプルなフォームでキャッチボールを繰り返した。下半身への負担減で安定感アップを目指す。飛躍を支えた投球フォームからの脱却は、さらなる進化への1歩になる。

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2日から宮崎・日南では秋季キャンプが始まるが、エース大瀬良は広島に残る。マイペース調整を許可されているが、今季の悔しさと反省から大きな改造を決意した。昨年の投手2冠、今年の3年連続2桁勝利やリーグ最多6完投を支えた2段モーションと決別宣言。秋季練習ではすでにキャッチボールから左足を上げて、そのまま降ろすフォームを試している。「2段モーションを止めて、よりシンプルに投げていこうかなと思っています。イメージはシンプル。そこを目指したい」

もともと2段モーションは偶発的に生まれた。上体が突っ込んだり、体重が軸足に乗り切らなかったりする癖を矯正するため、遠投で右足1本で助走をつけている形が2段モーション投法となった。奏功した結果、昨年はタイトルを獲得し、今年は周囲がエースと認めるまでに成長した。

パフォーマンスの向上の代償に、下半身への負担が増した。2段モーションによる蓄積は長いシーズンで登板を重ねることで、影響が色濃くなった。今季終盤6試合で1勝3敗の数字にも表れている。「下半身を意識しながら投げる部分もあるし、1球1球の疲労感も違う。そこは軽減させたい」。もともと下半身が張りやすい体質。シーズン終盤にランニングの量を落とすなど対応してきたが、パフォーマンスの低下は否めなかった。

すでにシーズン終盤に2段モーションの動きを小さくした形を試している。「小さくして安定して良かった。それなら(2段)なくても変わらないんじゃないかなって」。一定の手応えを得て、オフの大改造に入っていく。変化なくして、進化なし。今秋、鍛錬の日々を過ごすのは、秋季キャンプに参加する若手だけではない。王座奪還へ-。主力選手もまた、鍛錬の日々を送っていく。【前原淳】