指神様が開幕戦で王者を粉砕した。オリックスが前年日本一の西武との3連戦で、1勝2分けと勝ち越した。

震える指先で観客席を揺らした。3試合の初戦を任されたオリックス主将の指宿聖也は、操るモヤの能力を信じた。1回2死一塁。カウント3-1からの5球目、今井の外角低め151キロ直球を思い切り振り抜いた。打球は快音を残し、右翼席へと吸い込まれていった。eBASEBALL開幕戦での鮮やかな先制2ラン。「緊張で手が震えていたんですけど、あの1発で収まりました」と前年王者の西武の出ばなをたたいた。

コントローラーを震わせても、心はぶれなかった。相手は17年パワプロチャンピオンシップで優勝した西武前田恭兵。少ない好機を仕留めるように割り切った。カウント3-1で、相手はストライクを欲しがる。「初回なので配球はまだうまくつかめていなかった。それよりもモヤにはローボールヒッターとプルヒッターの能力がついているので、外角球をしっかり仕留められればというイメージがあった。あの場面で高めはないと思ったし、内角を捨てました」と外角低めに絞っていた。

愛称は「指神」だ。名前の指宿と、コントローラーのスティックを親指と人さし指でつまむように操作する独特のスタイルを掛け合わされた。正確な操作が持ち味。試合前に流れたあおりVTRで命名され「恥ずかしいんですけどね」と苦笑いを浮かべたが、神懸った1発で打ち砕いた。

ワンチャンスをものにすると、5回まで1失点で抑えて2-1で逃げ切り。第2戦、第3戦もチームメートが引き分け、1勝2分けで開幕カードを勝ち越した。それでも「去年は開幕カードを勝ち越した後に6連敗と崩れてしまった。気持ちを引き締めていきたい」と慢心はない。指神様が率いる猛牛軍団が獅子をなぎ倒して勢いをつけた。

◆西武前田(1回に2ランを被弾し)「失点はあのホームランだけなので悔しい。変化球は甘いところにいったら嫌だなと思った。ランナーもいたので(カウントを悪くして)次のバッター勝負というよりもバッター勝負を選んだ。外角低めに投げきったが、甘く入ってしまった」