慶大91年ぶりの10戦全勝は、ならなかった。前日に開幕9連勝でリーグ優勝を達成。勢いに乗って早大2回戦に臨んだが、守備の乱れもあり、今季初黒星を喫した。

ただ、4番で主将の中日ドラフト4位、郡司裕也捕手(4年=仙台育英)が押し出し四球で打点1。打撃3部門(打率、本塁打、打点)でトップに立った。3回戦で勝ち点5の完全優勝に挑む。

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郡司は正直に打ち明けた。「10戦全勝は難しいですね」。前日の優勝後も、いつも通り過ごした。合宿所でミーティングを行い、早大先発の徳山対策に時間を費やした。だが、リーグ打率トップの打線は5安打のみ。守りも乱れた。防御率0・00だった先発の森田晃介投手(2年=慶応)が初回先頭から4連打を浴び、3失点。5回の2失点は適時失策。投手陣全体で6与四球だった。郡司は「どこか浮足だっていたかも。下級生は、ちょっと力が入っていた。主将として、もっとできなかったかなと思います」と自らを責めた。

もっとも、終盤の粘りは健在だ。4点を追う8回に4四球&1犠飛で2点差まで詰めた。郡司は押し出し四球を選び、9打点はリーグトップタイに。2本塁打もトップタイで、打率4割1分4厘は単独トップだ。戦後14人目、慶大では96年春の高橋由伸以来の3冠王が見えるが「そうなんですか。全く意識してないです」と受け流した。それよりも、10戦全勝が消えたことで「仕方ない。切り替えて、完全優勝したい」と、学生最後のリーグ戦の目標を口にした。【古川真弥】

▽慶大・大久保秀昭監督(9連勝で止まり)「ミスや四球で残念な試合になったが、今までができ過ぎ。まだまだ甘いということ」

▽早大・小宮山監督(慶大の10連勝を辛うじて阻止し)「明日も勝って、完全優勝を阻止したい。早慶戦は特別。最後はどれだけ執着心があるか、意地をみせられるかです」