西武ドラフト1位指名の東芝・宮川哲投手(24)が5日、横浜市内の東芝総合グラウンドで指名あいさつを受けた。

即戦力として期待される最速154キロ右腕は、生駒ボーイズに所属した中学時代に同い年の森友哉と対戦。社会人での「技術的革新」を惜しまず急成長を遂げ、プロの舞台ではバッテリーを組む。リーグ2連覇を果たしながら、投手力が課題とされる西武の、新たな未来を切り開く。

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未来をつくる人に、なる。指名あいさつを受けた宮川は、緊張の面持ちで言った。「あらためてプロに向けてやっていかないといけない。次につながるために準備は最善。出遅れないようにしていきたい。大事なところを任せてもらえる投手に、そしてそこで抑えられる投手になりたい」。西武の未来を背負って立つ決意を込めた。

球団期待の即戦力。正捕手とのバッテリーは、再会から始まる。生駒ボーイズ時代、堺ビッグボーイズ所属の森と対戦した。「森選手は投手で、(試合は)4-4のままタイブレーク。その後、サヨナラ負けしました。いいピッチャーでしたよ。でもその試合、僕は打ちました」。今でも記憶に残る一戦は、外野手で出場していた。まさか10年後の未来に自分は野手から投手となり、かたや森は投手から捕手となって、プロでバッテリーを組むとは想像もしていなかった。

座右の銘は「勝つか負けるか」。中学時代は全国優勝を経験。しかし東海大山形では甲子園出場なし。上武大4年での2年前のドラフトでは指名漏れした。負けを知り、東芝でのイノベーション(技術的革新)を怠らなかった。「社会人に入るまでは勢いだけでやっていた」と、投球フォームは野手目線の声に耳を傾け改造。潮崎編成ディレクターが「リラックスして脱力投法で投げるんだけど、球が違う風に来る」と認める投法で、プロへの道を切り開いた。

目標の投手は、いない。「自分がやるしかないんで。目標どうこうの前に自分がやらないといけないんで」と事もなげに言う革新者。西武の未来をつくる人は、ここにいる。【栗田成芳】