「今江VS今江」が実現した。今季限りで現役を引退した楽天今江敏晃育成コーチ(36)が24日、仙台市内の楽天生命パーク宮城で行われたファン感謝祭に参加し、引退セレモニーを行った。

プロ野球人生を振り返る映像が流れた後にマイクの前に立ち「本年をもって私、今江敏晃は18年間の現役生活を終え引退します。今こうして振り返ってみると僕は本当に人に恵まれたなと改めて思います。プロの道に導いてくれた千葉ロッテ球団、育てていただいた指導者のみなさま、チームメート、スタッフ、ファンのみなさまには本当に感謝しています。その中で2005年、2010年の日本一。熱い熱い応援、今江コール。今でも忘れません。本当にありがとうございました」と頭を下げた。

スピーチ後に妻幸子さん、長男陸斗くん(14)から花束を受け取ると「IMAE」と書かれた背番号8のユニホームを着た陸斗くんから「現役の今江敏晃選手として1打席勝負をしてください」と“サプライズ直訴”を受けた。渡されたバットを持ち、ヘルメットをかぶり打席へ。右腕の息子との初対戦が始まった。

初球は内角へのボール球に体をのけぞらせた。2球目。外角高めの直球を中堅手の定位置付近へはじき返した。ダイヤモンドを周りながら、内野を守っていたチームメート全員とハイタッチ。定位置だった三塁ベース付近で背番号と同じ8度宙を舞った。「ああやって考えてやってくれて、チームメートも守ってくれて、引退試合がなかったので、最後の打席で息子が投げてくれた球を打つという形でいい現役人生を終われて幸せだなと思いました」とかみしめた。本職が内野手の息子との対戦には「あそこ最後でボテボテのゴロは打てないでしょ(笑い)。僕も(引退してから)全然バッティングをしてなかったので、けっこうガチめに打ちにいきました」と振り返った。

さらに「僕があともうちょっと頑張ってあと4年頑張ってて、息子が奇跡的にプロ野球選手になれたら一緒にやるという夢も見ていた。でも現実そんなに甘くない。最後にサプライズをやってもらってよかったなと思います」とかみしめた。

捕手役には1学年下でヤクルトに移籍する嶋が務めた。「いろんな思いを持ちながら今年の後半は僕もあいつも2軍でやっていた。あいつはまた違う形でプレーもできますし、本当に頑張ってほしい。楽天に来る時もあいつが一番に声をかけてくれた。すごく僕はあいつに特別な思いがある人間なので、チームは変わりますけど、本当に頑張ってほしいと思います」と感謝を示し、エールを送った。