新しい世界でも「自分軸」はブレない。ヤクルトの新人合同自主トレが7日、戸田球場で始まった。ドラフト1位奥川恭伸投手(18=星稜)は、1、2軍の首脳陣らが集結する前で堂々とメニューをこなした。「2月のキャンプに万全の状態で入れるように1カ月頑張りたい」と意気込んだ。

視線が降り注ぐ中、自分と向き合った。ドラフト3位杉山と約20分間のキャッチボール。軸足にしっかり体重を乗せ、その感覚を何度も確かめるように1球ごとに時間をかけ、丁寧に約50球を投じた。「バランスを意識した。そんなに強く投げていない。感触は悪くなかった」。キャッチボールを初めて見た高津監督は「いい顔をしている。上半身、下半身のバランスが連動したすごくいい投げ方。余計に期待してしまうというか、いいものを見られたなと思う」と目を細めた。

マー君の背中を追う。奥川は、新入団会見でヤンキース田中を目標に掲げた。高津監督も「ただ勝つだけじゃなく、真のエースになってほしい。本当にどっしりした本当のエースに育てたい」と話し、お手本に田中の名前を挙げた。

田中は楽天時代の07年、新人合同自主トレ初日の長距離走で最下位も全く動じず、キャッチボールではすごさを見せつけた。春季キャンプは1軍スタートで、1年目に11勝。奥川も「走るのは苦手」と言いながらランニングはしっかりこなした。同期の投手陣ではただ1人の高校生だが、体格も雰囲気も遜色ない。担当の阿部スカウトは「いつも通りの様子」と話し、大物感にあふれている。

練習後には、大物の船出をひと目見ようと集まった約250人と左手で優しくハイタッチ。引きあげる際には、くるりと後ろを振り返って深々と頭を下げた。高校時代からの習慣は変えず、自分のペースでエース道を歩む。【保坂恭子】

◆ヤクルト奥川のメニュー

<午前> ストレッチ→ウオーミングアップ(30分間)→キャッチボール(20分間)→2カ所ノック(20分間)→ランニング

<午後> ウエートトレーニング→座学「ファン対応、メディア対応について」など

▽ヤクルト斎藤投手コーチ(奥川について)「『野球界にとって』と言われるくらいの原石。丁寧にやっていかないといけない」