ヤクルトのドラフト1位奥川恭伸投手(18=星稜)が12日、驚異的な球筋を披露した。戸田球場での新人合同自主トレで初の遠投を実施。

   ◇   ◇   ◇

昨秋の台風では2メートル以上も水没していた戸田球場で、まさかこんな見事な遠投を見るとは思わなかった。奥川の80メートル遠投を、少し離れて真横から堪能した。リリースポイントから、左翼線に立つスタッフまで、ほぼ奥川の身長の高さのままミットへ。失速しない。ボールが垂れない。明大時代の広島ドラフト1位・森下暢仁投手の遠投も見たが、その時の驚きを超えた。

1991年、巨人槙原寛己の左翼での外野ノックを見た。ホーム左打席付近にいたノッカー江藤省三さんの真後ろでその返球を観察した。斎藤雅樹、桑田真澄というそうそうたる顔触れの中、槙原の返球は低空でどこまでもスーッと伸びてくる。江藤さんの「投手のボールはすごいだろう。中でもこんなボールは槙原しか投げられないよ」の声が耳に残る。18歳の今年最初の遠投に接し、その興奮がよみがえってきた。【井上真】