【ホノルル(米ハワイ州)12日(日本時間13日)=桝井聡】菅野流思考でタイトル総取り! ハワイで自主トレ中の阪神西勇輝投手(29)が現地で自主トレを公開し、すべてのタイトルに「がっつく」と宣言した。昨季まで一緒に自主トレをした巨人菅野と同じ思考で、自ら口にすることで目標に1歩でも近づくと理由を明かした。虎のエースとして期待される右腕が夢の「7冠」に挑む。

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チャレンジしない者に可能性はない。常夏の島でトレーニングを続ける西勇は、タイトルについて問われて力を込めた。「全部いかなアカンねん。がっつく。がっついてでも」。プロ12年目を迎える右腕が語ったのは投手タイトルの総取り。夢物語のように思えるがその表情は真剣そのものだ。

虎1年目の昨季は先発ローテーションの柱としてチームトップの10勝を挙げ、自己最長の172回1/3を投げた。先発投手主要の防御率、勝率、勝利数、奪三振数でもリーグトップ10にランクイン。オフには女房役の梅野と共にゴールデングラブ賞(GG賞)も受賞した。タイトル総取りはこれまでの実績からすれば、もちろん可能性はゼロではない。だが、あえて困難な目標を口にするのにはワケがある。

「狙いにいった結果が1つ(獲得)とかなっていると思う。菅野さんも言っていた。全部狙いにいって取れたのが何個かあるか。10勝したいとかよく言うけど、それが8勝とか、9勝で終わったり。そういうもんだと思う」

日本球界のエースから授かった考え方だ。巨人菅野はこれまで「200投球回&10完投」「20勝」など驚くような目標をあえて公言。高みに上り詰めた。自身を客観視できる冷静な目を持ちつつ、実現可能な目標は「がっつく」。昨オフまで4年連続で一緒にハワイ自主トレを行った師匠の思考を、「独り立ち」した今でも忘れていない。

この日はホノルル市内でキャッチボールやウエートトレーニングを行った西勇は「そういう気持ちがないと出来ない」ときっぱり。投手4部門にGG賞、ベストナイン、沢村賞と合わせて夢の「7冠」-。チームを引っ張る男が、個人タイトルも本気でがっつく。