阪神藤川球児投手(39)が3日、キャンプ2度目のブルペンに入り、パワーアップした「火の玉ストレート」をお披露目した。

力強くオール直球で71球。指に掛かった球が次々とミットに吸い込まれた。7月に40歳となる今季へ「3段階くらい、一気に状態は上がったかなという感じ。ストレートは例年よりもいい」と満足そうに汗を拭った。

実は微妙な軌道変化をつけながら、ミットに収まっていた。すべて直球だが「1つの球種でも6、7、8(種類)くらいある」とにんまり。ボールを受ける坂本と、コースを確認しながら腕を振った。「本当に細かいところ。スコアラーさんとか他の球団の方もいるだろうし、バリエーションをある程度持っておかないといけない」。迫力を増した火の玉ストレートプラス絶妙な変化。打者にとってこれ以上の脅威はない。

衰えを知らない。キャンプ初日のブルペンは15球で終了。「(キャンプ)全体で4~5回くらい。全然入らないと思いますよ」と、話していたが、この日はブルペン一番乗りで迫力投球。このメリハリが球児流だ。「自分の状態として、ストレートのみで70球そこそこ投げられる状態にあるような気がした」。倍近い年の差がある若手顔負けのパワーピッチを見せつけた。

マウンド後方から見つめた矢野監督もうなった。「これがプロ。球児のブルペンはそういうものが見られる。この時期であのボールやったら頼もしい」。抑えを託すベテラン右腕への信頼をさらに厚くした。

元来は徐々に調子を上げるタイプ。昨季も春先は不調で、7月下旬に守護神に返り咲き、16セーブを挙げた。引き続き抑えを託される今季、五輪の影響で開幕が早まるだけに、ハイペースで体をつくってきた。名球会入りの日米通算250セーブまであと7。「全ては優勝するための努力です」。百戦錬磨のベテランの進化が、15年ぶり優勝を猛プッシュする。【只松憲】

▽阪神金村暁投手コーチ(藤川について)「かなりよかった。2回目とは思えない」