近本が打てば、この男も打つ-。20年も「キナチカ」が虎の主役や! 阪神木浪聖也内野手(25)が「7番遊撃」で8日の中日戦に先発し、今季初の対外試合でチーム1号となる3ランを放った。1打席目にも右中間二塁打を記録し、3打数2安打3打点。ライバル北條に負けじと、結果を残した。

打った本人も驚く1発だった。4点を追う4回2死一、二塁。木浪は中日の右腕阿知羅の外角140キロ直球を捉えた。「思い切って振ろうと思った。しっかり振り切れて、ホームランになってくれた」。打球はライナーで、バックスクリーン右へ突き刺さった。「入るとは思わなかった。来た球に対して、しっかり自分のスイングができたので(外野を)越えるだろうなと思って走っていたんですけど。入ってビックリした」。手応え以上の結果に思わず笑みを浮かべた。

昨年はルーキーながら、オープン戦で打ちまくり、近本との1、2番コンビで開幕スタメンを勝ち取った。2年目の今季、木浪は内容よりも結果に強いこだわりをもつ。「結果がすべてだと思っているので。それに対しては結果を残せてよかった」。2回の第1打席でも先発右腕山本から二塁打を放ち、初の対外試合でマルチ安打。「『1が大事』という言葉を自分の中で持っていて。今日は最初の対外試合ですし、1打席目からしっかり入れるような準備はしてきた」。東京五輪の影響で開幕が通常よりも早い中、北條に先制パンチをかました形だ。「自分のことをしっかり考えて」とライバルへの意識は表に出さないが、レギュラー奪取に倒さなければならない相手だ。

最高のスタートも慢心はない。「全てがうまくいくわけでもないと思う。どこかで(壁に)ぶち当たった時に、どうするかというのも大事になると思う。そういうことも考えながら、今はもう思い切ってやるだけです」。ポジション争いを勝ち抜けば、再び近本と1、2番を組む可能性もある。木浪がガムシャラにバットを振って、2年目の進化をアピールする。【奥田隼人】

▽阪神井上打撃コーチ(北條、木浪が結果を出し)「ジョーにしても、セイヤにしてもいい味出してたね。2人がこうやってみんなを引っ張ってくれたら。初戦からバチバチ系でいけたというのはいいよね」