相次ぐ故障で昨季登板のなかった日本ハムのニック・マルティネス投手(29)が、“魔球”をひっさげてカムバックした。

17日、沖縄・名護でフリー打撃に登板し、5年目平沼、4年目今井に、42球で安打性ゼロ。特に捕手とのサイン交換で球種を伏せて投げた後半21球は、フェアゾーンに飛んだ打球がなかった。今オフ習得した「スパイクカーブ」のキレ、制球が抜群。「緩急を使えた。力強いボールが投げられた」と手応えを口にした。

これまでのカーブの握りより、親指をボールの真下に深く入れ、人さし指の爪を立てた。指の第一関節までを曲げて握りこむナックルカーブとは違い、スパイクカーブは爪ではじくイメージ。日本球界では、16年に沢村賞を獲得した広島ジョンソンが得意としている。「スピンや回転数を求めている」。直球と同じ軌道から、打者の手元で急ブレーキ。武田投手コーチが「指の形がロックされ、投げやすいのでは」と言うように制球も安定した。

後半21球で投じた同球種は5球。うち2球で空振りを奪い、直球を含めて7度もバットが空を切った。次回は21日からの第5クールで実戦登板の予定。栗山監督は「あんなに順調だと逆に心配する」。一昨年の10勝右腕が、ブランクを経て進化した。【本間翼】