開幕投手に決定している阪神西勇輝投手(29)が22日、中日戦(北谷)でオープン戦開幕投手も務め、上々の対外試合初先発を飾った。昨季10打数6安打と苦手にした4番ビシエドは、5球全て変化球の意表を突く配球で見逃し三振。開幕相手のヤクルト007を「面食らいました」と幻惑させ、投球の幅を広げる進化もアピールした。2回3安打1失点の結果以上に、価値あるマウンドになった。

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西勇が投じた109キロのカーブを、4番ビシエドは諦めたように見送った。西は笑顔でマウンドを降りた。「苦手としてるバッターでしたし…。バッターがもういいやっていう反応だったので難しいんですけど、投げられたことは良かったですし、その点は満足しているかなと」。初回2死一塁。ビシエドに投じた5球は何とオール変化球だった。カウントを稼ぎ、最後は坂本のサインに首を振って真ん中カーブで見逃し三振。真っすぐは1球もはさまず。昨季と全く異なる配球で、増やした引き出しをアピールした。

昨季10打数6安打1本塁打と苦戦した主砲はキリキリ舞い。同時に開幕戦の相手となるヤクルト007も惑わせた。山口スコアラーは「5球変化球で面食らいました。本人の中で試している感じだったけど、びっくり」と仰天。西は前日、ヤクルトの目を意識し、「いつも投げない球を投げるとか」と幻惑を予告していたが、その言葉通りに心理戦でも上をいった。

自身2度目の開幕投手へ順調そのもの。2回は先頭の井領に右前打を許すも直後にけん制で刺した。その後加藤の投ゴロ処理で併殺を奪うなど、安定したフィールディングも健在だ。

今オフは例年以上に筋力アップに励み、まだ疲労は残る状態。「疲れが抜けた後の自分がすごく楽しみです。抜けなくても今ぐらいのパフォーマンスができれば、長いイニングも投げられる。悪い方向には進んでない」。進化途上の新エースが頼もしい。【磯綾乃】

▽阪神坂本(西勇のビシエドへの配球について)「いつも同じことをするより、何かした方が変わるんじゃないかということも話していた。上手に抑えることができた。シーズン中もするかもしれないし、相手が逆に考えてくれて、しないというのも、何回も対戦すると出てくると思う」