無観客でも動じません! 広島大瀬良大地投手(28)が、中日とのオープン戦(ナゴヤドーム)に先発し、4回1安打1失点と貫禄の投球をみせた。20日の開幕戦で対戦する相手との「予行演習」で最速148キロの直球とカットボール、フォークを交ぜて4三振を奪った。新型コロナウイルス感染拡大防止のため史上初めて無観客でオープン戦が行われる中、広島のエースがまた1段ギアを上げた。

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無観客の閑散としたドームの中で、広島の背番号14の存在感が際立った。最速148キロの直球とカットボールを軸に3回まで無安打無失点。被安打は4回に浴びたビシエドのソロのみ。開幕の前哨戦を堂々の投球で終えた。ファンの後押しはなかったが「鳴り物がないのは少し違和感がありましたけど、プレーボールがかかってからゲームに入っていくことができた」と集中力を研ぎ澄ませた。

課題を克服した。前回2月23日の阪神戦では左打者に内角球を捉えられていた。この日は2回2死で迎えた京田に追い込んでから内角への切れ味鋭いカットボールで空振り三振。他にも大島、高橋、井領ら左打者の内角をえぐり、空振り三振、凡打だった。「左の内角に強いカットボールを投げて、意図して三振だったり、内野ゴロを打たせて取ることができた」と好感触をつかんだ。

ピンチにも動じなかった。3回先頭の平田のゴロを三塁ピレラが一塁へ悪送球。犠打で1死三塁とされたが、井領を145キロ直球で空振り三振。大島を二ゴロに仕留め、難を乗り越えた。「昨年まで僕の中では課題というか、ああいう場面で失点してしまうケースが多かった。なんとかゼロにに抑えて、JP(ピレラ)にいい形で打席にいってほしいとも思ってました」。

4回に多投したフォークも新たな勝負球の1つに加わりそうだ。2死からはビシエドに内角へ甘く入ったその1球を左翼席へ運ばれたものの、高橋、福田、京田と3人ともフォークで仕留めた。大瀬良は「抜けてしまうとビシエドに打たれたみたいになる。そこを気をつけていけば、使える球種になるんじゃないかな。感触はよかった」と手応えを口にした。広島の大黒柱のエンジンが徐々に暖まってきた。【古財稜明】

▽広島佐々岡監督 (大瀬良は)課題を持って投げていた中で、強さも出せて投げていた。(床田は)良かった時とはまだ違う。