ファンに届け! 熱男~! ソフトバンク松田宣浩内野手(36)が10日、巨人とのオープン戦(ペイペイドーム)で2本塁打を含む3打数3安打4打点と大暴れ。

無観客のスタンドに向かって、2度の「熱男」パフォーマンスを披露した。シーズン開幕の延期が決まり、先行きは不透明。ファンにも不安が広がる中で、プレーで元気を届けていく。

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雄たけびが静寂のスタンドに響き渡った。初回だ。松田宣がバレンティンの3ランに続いて2者連続弾を左翼席にたたき込んだ。ダイヤモンドを1周したベテランはスタンドに向かって右手を突き上げた。「熱男~」。いつもなら大合唱となるファンの声は聞こえない。それでも画面の向こうに届けとばかりに叫んだ。

5日ヤクルト戦でオープン戦1号を打った際には、あえてテレビカメラに向けてポーズを取った。だが、この日は「西武の山川選手が(どすこいを)ダイナミックに外野に向かってやっていた。ぼくも無人のスタンドに向かってやりました。気持ちよかったです」と普段通りのパフォーマンスを披露。開幕はいつになるのか? 先行きが見えない状況でも声を張り上げた。

開幕延期が9日に正式決定し、迎えた最初のオープン戦だった。松田宣は「こればかりは、決まるまで待つしかない。与えられた打席、試合で結果を出していきたい。とにかく開幕日が決まるまで、しっかり準備するしかない」とどっしり構えた。1打席目にソロを打てば、3回無死一塁では右前打。4回1死一、二塁で再び左翼席に3ランを放ち、「熱男」をおかわりした。

前を打つバレンティンにも感謝した。「ネクストで見ていて、集中している姿勢を感じる。1打席に対する姿勢。一気に目に力が入っている気がする。敵やったら分からないこと。参考になりますよ」。松田宣自身も「3年連続30本を目指している。切磋琢磨(せっさたくま)して頑張りたい」と新戦力に負けない思いでバットを振っている。

開幕日は未定でもやることは変わらない。「無観客を経験させてもらっているからこそ、声援の力を感じる、ファンのありがたさを感じる期間になると思う」。その日が来るまで、バットを研ぎ澄まして待つ。【山本大地】