15日に終了したオープン戦の成績を基に、米国流データ指標「セイバーメトリクス」を用いて今年新加入の外国人選手を評価した。サンプル数が少ない中ではあるが、投手ではソフトバンクのマット・ムーア投手(30=タイガース)が活躍。公式戦でも期待できそうだ。

10イニング以上投げた投手が2人しかおらず、全体的に低調となった中で、ムーアは見事な投球を披露した。3試合で8回2/3を投げて、失点なし。無失点なので高評価となったのはもちろんだが、奪三振13、与四球1と投球内容も光った。

三振と四球、本塁打は守備の影響を受けないので、投手本来の実力として評価される。それらを用いて算出するFIPでも、ムーアは0点台の好成績となった。同じ無失点でもゴンサレス(中日)は奪三振が少なく、シャギワ(楽天)は与四球が多かった分、ムーアやギャレット(西武)らと差がついている。三振が多く四球の少ない内容は、無失点以上に評価できる。

シーズンに入っても質の高い投球を披露して、白星を稼げるか。ソフトバンクの投手で来日1年目に2桁勝利を挙げたのは、南海時代の60年スタンカ(17勝)を最後に出ていない。オープン戦のような快投を続けることができれば、球団60年ぶりの記録もついてくるだろう。

◆FIPで見る好成績の投手は涌井(楽天)だ。防御率こそ3・75だが、12回を投げて奪三振12、与四球2、被本塁打0と各項目は安定していた。昨季も3勝7敗、防御率4・50の成績だったが、奪三振率はロッテ時代で最も良い7・53、与四球率も同2番目に良い2・34。決して内容は悪くなかった。内容に白星が伴えば、史上初となる3球団での最多勝も見えてくるかもしれない。

◆FIP(Fielding Independent Pitching)守備などの不確定要素を除いた投手の能力値を表す指標。与四球、奪三振、被本塁打で「仮想防御率」を算出する。計算式は{(被本塁打×13)+(与四死球-敬遠)×3-(奪三振×2)}÷投球回+補正値(今年のOP戦は2・85)。平均は3・80~4・20。昨季の両リーグトップは山本(オリックス)の2・69。

◆セイバーメトリクス 米野球学会の略称「SABR(セイバー)」と測定基準を意味するメトリクスを組み合わせた造語で野球を客観的データで分析し、選手の評価を行ったり戦術を組み立てる試み。メジャーで浸透しているデータ指標。