本来なら開幕だったはずのマウンドで、阪神西勇輝投手(29)はさらなる進化を求めた。ヤクルト戦に先発し3回5安打3失点。「試合が延びた分、やれることはいっぱいやったほうが自分のためかなと思います」。この日大事にしたのは結果ではなく挑戦だった。

3回先頭青木の打席では左足を上げる動作を少し長めに取った。「何でもトライしながら。どれが自分にはまるか分からないし」。青木に左翼へ二塁打を浴びてからは、内角を積極的に攻めた。「山田(の時)もそうですし、(梅野も)極端なリードしてましたよね。どんどん引き出し出して、このパターンでこう投げようとか、面白いんじゃないかなと」。2回の山田哲の打席では5球中4球が外角へのスライダー。大胆な配球にも取り組んだ。

開幕日が決まらず、目指すマウンドが見えない日々。「難しいだけで片付けたら申し訳ない。本来の自分は置いといて、成長できる自分で、やっていけばいいかなと思います」。今後も進化の可能性を模索する。

矢野監督も調整の難しさを察しつつ背中を押す。「目標もすごく定めにくいしね。イレギュラーな形にはなるけど、挑戦できるところは逆にたくさんあると思う」。開幕マウンドには、頼もしさを増したエースがいるはずだ。【磯綾乃】

▽阪神福原投手コーチ 西に関しては結果は関係ない。試しにいった結果ですし、気にしていないです。