巨人戸郷翔征投手は、こんな“消費者”の声を待っていた。3回1死。右打者加藤に対し、1ストライクから外角低めに投じた2球目に、バッテリーを組んだ炭谷から「カットなのにシュートしている」と突っ込みが飛んだ。初球も同じコースだったが、純正のカットの軌道で空振り。続く「なんじゃこらボール」は外から内に入りファウルを誘った。「いい感じで打者を翻弄(ほんろう)できた」。最後はフォークで空振りを奪い、3球三振の布石となった。

つぶあんだけかと思ったら、イチゴに、栗もクリームチーズも入っている。宮崎の隠れた名菓「なんじゃこら大福」。同県出身の戸郷が投じたカットボール、いや「なんじゃこらボール」も、見て、捕ってびっくりだった。23日にプロ初挑戦し、実戦ではこの日が初解禁の“隠し球”。宮本投手チーフコーチも「いろんな曲がりをするカット」と驚きの“レビュー”を挙げた。

レパートリーは増え、味に定評がある直球も最速150キロを計測。4回を1安打無失点の7奪三振と料理した。同コーチは「開幕を気持ちよく迎えるでしょう」とニッコリ。

開幕ローテをほぼ手中に収めた19歳。開幕だけでなく、東京オリンピック(五輪)も延期が決まった中で「チャンスがあるなら出てみたい」。宮崎から日本へ。日本から世界へ。最高の「なんじゃこらボール」を“出荷”する。【栗田尚樹】

▽巨人原監督(4回7奪三振の戸郷のフォークに)「腕の振りがいい分、真っすぐと同じような軌道に見えるんでしょうね」

▽巨人北村(7回に先制の適時二塁打)「アピールを続けなければいけない立場なので、続けていきたいです」

▽巨人陽岱鋼(マルチ安打で復調をアピール)「良い感じになってきた。もっと状態を上げて、開幕を迎えたいね」

▽巨人与那原(2番手で登板し、4回を1失点)「テーマだったストライク先行で投げられなかったのが悔しいです。(支配下登録に向け)負けん気を持ってやりたいです」