練習器具マニア!? 広島の新外国人テイラー・スコット投手(27)が7日、44日ぶりにマツダスタジアムのマウンドで投球を行った。7年前から導入する小型カメラGoPro(ゴープロ)を持参して投球を撮影。練習後に映像で自己分析した。開幕が見えず調整が長期化する中、抑え候補はさまざまなアイテムを取り入れて成長を図っている。

   ◇   ◇   ◇

投球練習前に、真剣な表情に変わった。新助っ人スコットが手に持つのは、白球ではなく、小型カメラGoPro。3月24日ヤクルト戦以来となる本拠地マウンドに上がる前、本塁ベースの約1メートル前に位置や角度を調整して設置した。27球投じると、すぐに映像を見た。練習法だけでなく、さまざまな練習器具が探求心の強さを表している。

当初は趣味のサーフィンやマウンテンバイクのために購入した。7年前から本職の投球にも導入。「映像を撮ることで自己解析でき、発見もある」。成果はあった。これまでは真後ろや真横からの撮影ばかりだったが、この日初めて前方から撮影。右横手投げのフォームで大切な肘の高さや体の角度、球の回転も確認できた。

守護神候補は研究に余念がない。3日の練習時には正しい回転を身につけるため、両サイドがカットされた変則球「スピンチェッカー」を使用。この日はキャッチボール前にD・ジョンソン愛用の公式球よりも重い「プライオボール」で肩を慣らした。固定概念にとらわれず、新しいアイデアを積極的に受け入れる。日本式にも抵抗なく、長引く調整期間にオフにやっていたヨガも取り入れた。

動画は撮影だけでなく、編集も自らやる。以前撮影した自身の理想のフォーム、球の軌道や回転の映像と見比べて改善点や修正点を探る。「ときどき自然と(肘が)下がってしまう。肘が下がると思った球筋にならない。しっかり上からたたかないと球が抜ける。自分の位置をキープしたい」。晴天の下、44日ぶりの本拠地マウンドでの投球も収穫はあった。練習後、広島助っ人陣の定番アイテムとなった自転車にまたがり「すごく気持ち良く投げられた」と笑顔。荷台に新たなアイテムと思わせる段ボール箱を2つ載せ、さっそうと球場を後にした。【前原淳】