阪神は18日、岩田稔投手(36)と「NPO法人日本IDDMネットワーク」が創設した「岩田稔基金」の400万円が、岩田自身も患者である「1型糖尿病」の根治を目的とした研究助成に使われることが決定したと発表した。オンライン取材に応じた岩田は「1型の患者として早く根治してほしい思いでしかない。冠が付いた基金で、しっかりと実績が残ったので、これからが大事かなとすごく思います」と力を込めた。

「岩田稔基金」は17年12月に設立された基金。岩田が行う1勝につき10万円の寄付や、17年の「ゴールデンスピリット賞」受賞の際に寄贈された200万円、活動に賛同した一般の人からの寄付などにより、のべ400万円が集まった。

「1型糖尿病」は、主に生活習慣などに原因がある「2型糖尿病」とは異なり、何かのきっかけにより膵臓(すいぞう)からインスリンが完全に出なくなる病気だ。岩田は高校2年の冬に発症。06年に阪神入団後は、09年から研究基金に寄付を始め、患者と家族を球場に招待するなど活動を続けてきた。

今後はまだ回り切れていない全国の患者会を訪れるなど、周知のための活動の幅を広げていきたいという。「患者でプロ野球(選手)でってなったら今は僕しかいないので、しっかり人としてちゃんと出来るよというのを見せていきたい」。全国の患者のためにも、第一線で活躍し続ける。

 

○…岩田は1型糖尿病の根絶を目指す研究資金集めを目的に「NPO法人日本IDDMネットワーク」が実施しているクラウドファンディングへの協力も呼びかけた。「新型コロナウイルスに感染した場合、1型糖尿病患者の重症化リスクが高いと言われており、まだ小さな子供までが命の危機に直面しています。皆様、ご協力のほどよろしくお願いします」と動画内で訴えた。クラウドファンディングの詳細は以下の通り。https://a-port.asahi.com/projects/japaniddmnetwork2020/

 

○…岩田が新型コロナウイルスの影響で大会が中止になるなど、部活動が出来ない高校生たちにメッセージを送った。「今までやってきたことは決して無駄なことはないと思う。しっかり自分がどうなりたいかというのを明確に持って、1日1日を過ごしていくことが大事かなと思います」。自身が高校2年冬に発症したことも「僕はもう悔しさというか、申し訳ない気持ちの方が強かったので、中途半端ではやめれんなっていう気持ちがありました」と振り返っていた。

 

○…岩田は前回4月27日のオンライン取材では約50キロの「自転車トレーニング」を始めたことを明かしたが、現在は小型のBMXにチェンジした。「BMXという自転車は、自転車の中で多分一番難しいと言われている自転車なので」と競技にも使われる自転車。体幹トレーニングに上半身を使う有酸素運動も兼ねて、約30キロの距離を走っているという。「肩甲骨周りを動かすほうがより代謝も良くなりますし、BMXはそれが一番やりやすい乗り物」。開幕へ向けて、さらにレベルアップしたトレーニングを続けている。