広島大瀬良大地投手(29)が2年連続で開幕戦白星を飾った。降雨で試合開始が30分遅れたが、動じることなく、安定感のある投球を見せた。DeNAの強力打線を4安打1失点に抑え、12球団完投一番乗りを果たした。9回にダメ押し2ランを放つなど打でも2安打3打点。佐々岡監督に初勝利をプレゼントした。

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開幕投手の重圧も、異例ずくめのシーズン幕開けにも、大瀬良は重圧を感じさせなかった。1回わずか7球の立ち上がりから、2回に先制弾を浴びるも泰然自若。昨季までのような直球とカットボールに頼る投球ではない。直球とカットボールを中心に組み立てながらも、左右、縦、前後を使い、打ち気にはやるDeNA打線を手玉に取った。

本調子ではなかった。失投も、逆球もあった。「真っすぐも走っていなかったので、低めに丁寧に投げていこうと話をした。初球から振ってきてくれたので、シュートを有効的に使えた」。開幕の延期期間で完成度を上げた新球によって投球の幅が広がった。

打撃でも勝利に貢献した。1点を追う5回1死三塁で今永の146キロ直球に食らいつき、同点打。勝ち越しを呼んだ。9回は2死一塁から国吉の高めの直球を強振して右翼席へダメ押し2ラン。プロ入り初本塁打が今季チーム1号となり「気持ちよかったです」とマウンドでは見せなかった笑みがこぼれた。

3カ月待たされた開幕は、降雨でさらにプレーボールが30分以上遅れた。入団当初は神経質だった性格も、中継ぎ経験をへて「こだわりを持つことをやめた」。開幕前には、毎年続けていた津田氏の墓前に手を合わせることもできなかったが、臨戦態勢は整っていた。

昨年末にはすでに開幕投手を告げ、開幕日が何度ずれ込んでも、大瀬良を信じ続けた佐々岡監督は投打の活躍を称賛した。「冷静に投げてくれた。ホームランはびっくりしたが、大きな得点になった。信用して送り出し、1戦目からいいスタートが切れた」。周囲がエースと認めても、本人は今季が真のエースを目指す戦いと位置づける。「これからが始まり。これをずっと続け(佐々岡監督に)優勝、日本一をプレゼントできるようにしたい」。新指揮官の下、最高のスタートを切った。【前原淳】

▼開幕投手の西勇(阪神)と大瀬良(広島)が本塁打。開幕戦で本塁打を打った投手は08年川上(中日)以来で12、13人目(14、15本目)。阪神では38年春の御園生以来2人目、広島でも80年池谷(広島)以来2人目となり、同一年の開幕戦で2人の投手が本塁打は初めてだ。2人ともプロ初アーチで、開幕戦でプロ1号の投手は来日1号の04年ベバリン(ヤクルト)を含め4、5人目。2人は適時安打も打っており、西勇が2打点、大瀬良が3打点。開幕戦で投手の3打点は75年平松(大洋)以来。