楽天涌井秀章投手(34)が古巣ロッテとの初対戦で、先発としての役目を果たした。途中、激しい雨で試合が中断する難しい展開にも動じず、5回を5安打2失点、7三振1四球で今季2勝目を挙げた。試合後は「もう少し長いイニングを投げないといけない」と反省したが、満足いかない内容でも、きっちり試合をつくる百戦錬磨の真骨頂を示した。

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百戦錬磨の経験が生きた。涌井は初回を0に抑えた後、降雨中断で約1時間も待たされた。それでも再開後、丁寧な投球でロッテ打線をマーティンの2ランだけに封じた。かつての女房役田村から2三振を奪うなど、計7奪三振と要所でバットに当てさせなかった。

5回100球でマウンドを降り「ふがいないというか、イライラする気持ちが強いですね」と反省。だが三木監督は「中断があって難しかったと思うけどさすが。天候も蒸し暑くて。でもゲームをつくってくれた。素晴らしかった」とねぎらった。

1時間の中断は、プロの投手にとっても簡単に対応できるものではない。1度冷えた肩をつくり直さなければならないからだ。さらに涌井は「(ロッテのことを)そんなに意識してないと思ったんですけど、自然と力が入っていたみたいで。ブルペンから多少力が入っていたみたいです」と告白。小さな力みが積み重なり、本人にとっては不本意の5回交代となった。

それでもチームにとっては大きな1勝だ。ロッテに連勝し、首位で並んだ。涌井は試合前、「則本(昂大)と各部門で競っているんで。前回、則本が10個も三振をとったんで、イニング数や最多勝で負けないように。まず勝ち(2勝)は並ばないと」と話していた。その言葉通りに2勝目をマーク。これからも則本昂とのハイレベルな競争が、楽天投手陣の力を引き上げていくに違いない。【千葉修宏】