広島大瀬良大地投手(29)が4回8安打5失点で今季初黒星を喫した。球団の開幕投手では84年北別府以来となる3試合連続完投を目指した登板で、立ち上がりから精彩を欠き、責任投球回数を投げ切れなかった。今季の本拠地初戦をエースで落とし、チームは3連敗で借金1となった。

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まだ4回裏。広島の攻撃が終わっても、大瀬良は一塁側ベンチで両腕を組んでしばらくグラウンドをじっと見つめた。開幕から2試合、最後まで立ち続けたマウンドを4回で降りた。74球を投げ、毎回の8安打と打ち込まれて5失点。無観客で赤く染まらなかった本拠地開幕で、今季初黒星を喫した。

精彩を欠いた。1回2死二塁から4番マルテへの初球が甘く入り、左中間席へ運ばれた。得点圏で迎えた中軸相手にあまりにも不用意な1球で「僕がやっちゃいけない投球」と猛省。先制2ランが、今季初の1試合複数失点となった。2回は近本の犠飛で1失点。4回も無死二、三塁から2アウトを奪いながら、近本に1ストライクから150キロを右翼線にはじき返された。今季初となる1回の先頭打者安打を含め、昨季被打率4割の天敵に、2安打3打点1得点とやられた。

開幕から116球、132球を投げ、連続完投中だった。登板予定だった前日3日のナイター中止から、デーゲームへのスライド登板。「そこを言い訳にするのは簡単。いろいろ考えながら準備してきた。自分の中ではそんなに影響があったとは思わない。野手も中継ぎもギリギリまで戦って移動している。僕よりもしんどい。言い訳にできない」。エースとして、疲労面の影響は強く否定した。

開幕からの連続完投記録は止まり、今季初黒星でチームは3連敗となった。佐々岡監督は「開幕から2試合とも完投してくれた。切り替えて次の登板に備えてくれと伝えました」と背中を押す。次回は中5日で10日中日戦が見込まれる。「(完投を)2回はできたけど、(いい投球を)続けることができなかった。まだまだ成長していく過程にいる。この悔しさを糧にして次回頑張ります」。真のエースへの険しい道のりで立ち止まっていてはいられない。【前原淳】