阪神がついに最下位を脱出! 3-3と追い付かれた直後の5回。糸井嘉男外野手(38)がヤクルト石川から左前に決勝タイムリーを放った。開幕から続いた最下位と19試合目でオサラバし、最大8あった借金を3まで返済。見逃しちゃいけないのが、ヤクルトに代わって首位に返り咲いた巨人と3・5ゲーム差であること。開幕から2勝10敗の後、ここに来て6勝1敗。トラの反攻が加速する!

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絶好機で糸井がカッと目を見開いた。同点の5回無死一、三塁。ヤクルト石川の高めに浮いたカットボールを見逃さなかった。打球は鮮やかに三遊間を抜ける。「絶対にランナーをかえそうと思って打席に入りました」。試合を決める一打がこの日一番の歓声に包まれて左前へ転がった。

先発秋山が同点ソロを許した直後だった。「投手はいつも頑張ってくれている。打者が点を取っていきたい」。粘りながら6回3失点と試合をつくってくれた右腕に今季初勝利をプレゼントすることもできた。4回の第2打席では左翼へ二塁打を放ち、梅野の適時打で先制のホームを踏んだ。

今季も超人のバットが頼りになる。これがチームトップとなる3度目の決勝打。得点圏打率は11打数4安打で3割6分4厘と勝負強さを発揮している。「まだまだ納得はしてない。でもなんとか勝ちにつながるような一打が打てるように練習に励んでます」。開幕から打率3割前後をキープとずっと100%元気だ。甲子園に戻って4試合で9得点と元気のなかった打線に勢いを付けてみせた。

試合後は木浪と並んでお立ち台へ。昨年8月に左足を故障した影響で、甲子園でのお立ち台は約1年ぶりだった。「やっぱり選手として、あそこに立ちたいという思いは強いですし、活躍しないと立てない。そういう気持ちは常にあります」。久々に見えた景色は格別だった。ヒーローインタビューでは開口一番「3150(サイコー)です!」と叫んで、虎党と勝利を分かち合った。「ホンマにいつも通り心強いし、何とかそれに応えたいと思って、僕らやってます」。球場に駆け付けた4252人に心から感謝した。

ここ7試合で6勝1敗の猛チャージ。5位だった中日がDeNAに敗れ、今季初めて最下位を脱出した。首位とのゲーム差は過去に阪神が逆転優勝した最大6・5の“デッドライン”を越えて一時は7あったが、3・5差まで戻した。それでも糸井に喜びはない。「まだ借金もある。もちろん1位目指して、1日1日頑張りたいと思います」。こんなもので満足できるはずがない。超人が見据えるのは、常に頂上だ。【只松憲】

▼糸井の決勝打は6月23日ヤクルト戦、7月10日DeNA戦に続き今季3度目で、チーム単独最多。今季の得点圏打率は3割6分4厘(11打数4安打)で、それ以外の2割7分5厘から上昇している。